彼女たちは、歌に命と夢を吹き込む──
音楽界のトップスターを影で支えてきたバックシンガーたち。数々のヒット・ソングで記憶に残るハーモニーを訊かせてきた彼女たちだが、彼女達の名前が知られることはほとんどない。なかにはトップシンガー達と変わらないほどの実力を持ち、いつかはステージのメインに立つことを夢見るバックシンガーもいる。
60年代、黒人コーラス・グループ、ブロッサムズのメンバーとしてデビューしたダーレン・ラヴ彼女は、伝説的プロデューサー、フィル・スペクターが生み出した数々のヒット曲のバックコーラスを務めた。しかし、彼女をあくまでバックシンガーとして利用しようとするフィル・スペクターとソロデビューを目指す彼女との間に深い軋轢が生まれ、彼女は失意のなかで音楽業界を離れて家政婦として働いていた時期もあった。そんな彼女が映画のために久し振りにブロッサムズのメンバーと再会し、アカペラで見事なハーモニーを聴かせるシーンは感動的だ。
これまでスターの影に隠れていた彼女達に初めてスポットライトを当てた本作は、時には傷つけられて涙を流しながらも、歌うことに喜びを見出し、音楽を愛し続けた名もなき歌姫たちの人生をドラマティックに描き出した珠玉のドキュメンタリーだ。
【ストーリー】
ステージのメイン(中央)で歌うスターに負けない歌唱力を持ちながら、バックシンガーたちが注目されることはない。そんな彼女達の多くは、子供の頃から教会の聖歌隊で歌う歓びに目覚め才能を開花させた。そのうちのひとりがダーレン・ラヴだ。現在、70歳を超えた彼女は、60年代に黒人コーラス・グループ、ブロッサムズに加入した頃のことを思い出す。当時、コーラス・グループといえば上品な白人ミュージシャンばかりのなかで、躍動感溢れる彼女達の歌声は強烈な存在感を放っていた。やがて彼女達はバックコーラスとして、エルヴィス・プレスリーやフランク・シナトラなど様々なスターのレコーディングに呼ばれるようになる。しかし、伝説的なプロデューサー、フィル・スペクターは、ブロッサムズが吹き込んだ「ヒーズ・ア・レベル」を他のグループの曲として発表。それが全米ナンバーワン・ヒットを記録したのだ。その時の悔しさをダーレン・ラヴは今も忘れることはできない。
映画ではダーレン・ラヴ以外にも、様々なバックシンガー達を紹介していく。
運に恵まれたもの、そうでなかったもの。それぞれの運命に翻弄されながら全員が歌うことを愛し、歌に情熱を注いできた。そして、そうやって歌い続けてきた〈バックコーラスの歌姫たち〉が世代を超えてスタジオに集まり、そのソウルフルなコーラスが力強く響き渡る————。
2013年/アメリカ/90分
監督:モーガン・ネビル
出演:ダーレン・ラブ/メリー・クレイトン/ジュディス・ヒル/他
配給:コムストック・グループ/クロックワークス
上映場所 | ソレイユ・2(地下) |
上映期間 | 5/17(土)~6/6(金)終了 |
5/24(土)~5/30(金) | ①9:00 ②15:00 |
5/31(土)~6/6(金) | ①15:25 |
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