日本が誇る伝統工芸津軽塗 通称“バカ塗り“
海外では「japan」と呼ばれることもある“漆”。漆は時代を問わず、工芸品、仏像、社寺建築、芸術品など日本の文化を象徴するものに使用され、世界中の人々を魅了する。近年は、再生可能な植物由来の原として注目を集めている。耐久性があり、たとえ壊れてしまっても修理してまた使うことができる漆器は、昔から日本人にとって大切な日用品として私たちの暮らしに寄り添ってきた。
本作はその中でも、青森の伝統工芸・津軽塗をテーマに描かれる物語。タイトルにある“バカ塗り”は、津軽塗のことを指す言葉で、完成までに四十八工程あり、バカに塗って、バカに手間暇かけて、バカに丈夫と言われるほど、“塗っては研ぐ”を繰り返す。漆が丁寧に塗り重ねらるれように、本作も津軽塗の完成までの工程をひとつひとつ丁寧に映し出す。またその魅力だけでなく、日本の伝統工芸が抱える社会的背景にも真摯に向き合う様は、“ものづくり”に対する敬意を感じさせる。
津軽塗が繋ぐ父娘の絆 そして家族の物語
津軽塗職人を目指す引っ込み思案の娘・美也子と寡黙な職人の父・清史郎。家族より仕事を優先し続けた清史郎に愛想を尽かして家を出た母、家業を継がず美容師として自由に生きる兄…。津軽塗によってバラバラになってしたった家族が、美也子の大きな挑戦によってふたたび向き合う姿を、四季折々の風景や土地に根付く食材と料理、そこに生きる人々の魅力を織り交ぜ描く。つらい時、楽しい時を塗り重ねるように日々を生きる父娘が、津軽塗を通して家族の絆を繋いでいく。