巨匠たちが才能を絶賛する新鋭監督。
タブーに斬り込み、物議と絶賛入り乱れた衝撃のデビュー作。
監督はベトナムで生まれ育ち、ニューヨーク大学で映画制作を学んだアッシュ・メイフェア。自身の曾祖母の体験をもとに脚本を執筆。それをスパイク・リー(『ブラッ ク・クランズマン』監督)が激賞し制作資金を援助した。またトラン・アン・ユン(『青いパパイヤの香り』『夏至』監督)が美術監修を手掛けるなど、巨匠たちも大きな期待を寄せる女性監督だ。数カ月間キャストと共にロケ地で19世紀の暮らしをするなど徹底したこだわりで、実に5年の歳月をかけて完成させた意欲作である。
本国ベトナムをはじめ東南アジア諸国では、一夫多妻のテーマはもとより官能的な描写が大きな物議を醸した。だが一方で、トロント国際映画祭、シカゴ国際映画祭をはじめ世界51 の映画祭 で熱狂的な支持を得て、数々の映画賞に輝いている。
STORY
19世紀の北ベトナム。奇岩が連なる断崖絶壁の山々に囲まれた深い渓谷を流れる川を、メイ(グエン・フオン・チャー・ミー)は花があしらわれた舟で上ってくる。絹の里であるこの地を治める大地主(レ・ヴー・ロン)のもとに、14歳で嫁いできたのだ。
一族が暮らす大邸宅には、一人息子を産んだ第一夫人のハ(トラン・ヌー・イエン・ケー)、3人の娘を持つ第二夫人のスアン(マイ・トゥー・フオン)がおり、メイは三番目の妻となる。一族にはすでに第一夫人の息子ソン(グエン・タイン・タム)がいたが、若き第三夫人にはさらなる世継ぎの誕生が期待されていた。
まだ無邪気さの残るメイは、2人の夫人に見守られながら穏やかな毎日を送っていた。しかし次第に、ここでは世継ぎとなる男児を産んでこそ“奥様”と呼ばれることを知る。
ほどなくしてメイは妊娠。出産に向けて四季が巡る中、第一夫人も妊娠していることが発覚。時を同じくしてメイは、第二夫人のある秘密を知ってしまう。