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『島守の塔』【10/21~】

2022/09/07

次世代に語り継ぎたい「島守」

新元号が令和に変わり、昭和、平成、令和と時が進んでいます。

第2次世界大戦では、日本における最大の地上戦「沖縄戦」をはじめ、長崎、広島での原爆投下、東京や各地方都市においての空爆で300万人以上もの尊い命を失いました。

昭和、平成の時代を歩んでこられた上皇陛下は、天皇として最後となった平成30年12月の誕生日の記者会見で「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵しています」と涙で声を震わせて平成を振り返り、昭和の大戦を踏まえた平和への思い、そして沖縄がたどった苦難の歴史についても言及されました。

長期の地上戦が決行された激戦地沖縄の摩文仁の丘。ここは軍事召集で沖縄及び南方で亡くなった方の慰霊碑が立っています。この場所は、沖縄の心「命どぅ宝」(命こそ宝)と訴え消息を断った、当時の沖縄県知事・島田叡と沖縄県警察部長・荒井退造の終焉の地でもあります。

摩文仁の丘の中央には、沖縄県職員の戦没者を慰霊する「島守の塔」があり、その奥には、島田と荒井の連名の「終焉の地」の碑があります。隣には、栃木県の慰霊塔「栃木の塔」その背中合わせに兵庫県の慰霊塔「のじぎくの塔」が立っています。
これらの3つの塔の配置は、「生きることの尊さ」を後世に伝えてほしいと、この地で生涯を閉じた島田と荒井の信念を継承し、3県の慰霊塔が寄り沿って立っています。

沖縄戦では、家族や友人、そして官僚や学徒兵などそれぞれの立場での隠されたドラマが多くあったことでしょう。映画「島守の塔」は第2次世界大戦末期、長期の地上戦が決行された地沖縄を舞台に、県民の命を必死に守る戦場の知事と1人の警察部長のそれぞれの苦悩や葛藤などの生き様を通して「人間の命の尊さ」を描く映画を企画しました。
「命どぅ宝」の言葉が、戦争の記憶をいつまでも風化させず「人間としての命の尊さ」を発信できるものと確信しています。

また、主な登場人物の出身地の地方新聞社が連携を図り、単にこの映画製作の支援・協力をするだけでなく、3県のトライアングルによる「平和交流事業」の基盤を構築し、3県のみならず全国のメディアに呼びかけ、大きな平和事業に発展させていきます。

過酷な爪痕が残る沖縄戦から「命の尊さと平和」を発信するのは、昭和、平成、令和と「平和」を伝えてきた新聞社の使命でもあり、令和を生きる次世代にしっかりと伝え継承を促せることができる映画事業にいたします。

平成と同様に「平和」を受け継ぐ令和になってもらいたいと切に願います。

STORY

沖縄戦末期、本土より派遣された2人の内務官僚がいた。
1人は学生野球の名プレーヤーとしてならし、戦中最後の沖縄県知事として沖縄に赴任した島田叡。島田は、度重なる軍の要請を受け内務官僚としての職務を全うしようとする。
しかし、戦禍が激しくなるにつれ、島田は県政のトップとして軍の論理を優先し、住民保護とは相反する戦意高揚へと向かわせていることに苦悩する。
そして、多くの住民の犠牲を目の当たりにした島田は「県民の命を守ることこそが自らの使命である」と決意する。

もう1人は、警察部長の荒井退造。
島田と行動を共にし、職務を超え県民の命を守ろうと努力する。
実は、沖縄戦で2人はそれぞれ重い十字架を背負っていた。荒井は、子供など県民の疎開を必死に推し進めていた。
その矢先、本土に向かっていた学童疎開船「対馬丸」が米軍の攻撃に遭い、数多くの子供たちが犠牲となった。
また、島田は知事として、軍の命令で鉄血勤皇隊やひめゆり部隊などに多くの青少年を戦場へと向かわせていた。

2人はそれぞれ十字架を背負いながらも、戦禍が激しくなるのに伴い、必死に県民の疎開に尽力し多くの沖縄県民を救っていった。
一億総玉砕が叫ばれる中、島田は叫んだ。「命どぅ宝、生きぬけ!」と。

 

2022年/日本/130分
監督:五十嵐匠
出演:萩原聖人/村上淳/吉岡里帆/池間夏海/他
配給:毎日新聞、キューテック

上映場所 ソレイユ・2(地下)
上映期間 10/21(金)~11/3(木)
10/21(金)~10/27(木) ①9:00 ②13:50
10/28(金)~11/3(木) ①9:30

 

 

 

(C)2022 映画「島守の塔」製作委員会

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