『燦燦 -さんさん-』【1/11~1/24】

2014/01/11

77歳、婚活中。

映画『燦燦-さんさん-』の出発点は、監督・外山文治の想いだった。彼は、4~5年前、28歳の頃に、高齢者の恋愛物語を思いつく。その時点で、既に日本の人口の約20%が65歳以上の高齢者。「彼らがもう一度恋をするような映画を創りたい」と考えたのだ。

実際に高齢者達を取材してみると、イメージを覆されるような様々な魅力に驚かされた。「お婆ちゃんの知恵袋」に象徴される老人の役割とは程遠い、快闊で、狡猾で、芳醇な、人間味溢れる人々。衰えと成長の共存。枯れぬ欲望とジレンマ。生と死を身近で感じる日常。人生の大ベテラン達の海千山千の魅力に外山は取り込まれていく。

だが同時に、高齢者の明るい恋愛物語を作る前に、高齢者の光と影の両面を知る必要があると考えるようにもなっていった。そして2010年、自主映画『此の岸のこと』を制作。誰もが避けて通れぬ「老い」がもたらす事件や事故がマイノリティ化される現状に警鐘を鳴らす目的の短編だった。「老い」と対峙し、発病、孤独、老老介護を題材に夫婦の愛を描いたこの作品は、モナコ国際映画祭2011短編部門最優秀作品賞を含む5部門を受賞。作品は、各地での上映会を通じて3000人を超える多くの高齢者と触れ合う機会を彼にもたらし、彼は晩年の現実を切実な形で知ることになる。

次第に彼は、作ろうとしている“高齢者の恋愛物語”を、単なる恋愛物語や悪戯な挑戦物語に終わらせず、「命の輝きを取り戻すための“応援歌”にしたい」と願うようになっていく。こうして、孤独な晩年から脱却して内面から燦燦と輝いていく77歳の主人公・たゑの姿を明るく描く『燦燦-さんさん-』の物語が紡ぎだされていった。

外山は語る。「無縁社会の中で新しい縁を見つけようと奔走する主人公・たゑの姿は、これからの超高齢化社会における新しいヒロイン像かもしれない。観る者が勇気と希望を見出し、自身の幸せな結末とは何かを問える物語を目指しました」たゑに特定のモデルはいない。外山自身の祖母は、長患いで部屋から出られない晩年を送ったという。「高齢者を描くことは、私自身が得ることができずに終わった魅力を探求する行為だったのかもしれない。何より、私の祖母が羨ましがってくれるようなヒロイン像を目指したつもりです」

【ストーリー】
鶴本たゑ(吉行和子)、 77歳。 10年におよぶ介護の末に最愛の夫を亡くし、それからずっと独り暮らし。離れて住む息子たちは、なかなか会いに来てはくれない。日課といえば、老人クラブ「燦燦会」に顔を出すこと。だが、気の合う仲間はいるものの、年寄じみた活動は楽しめず、足が遠のいてしまう今日この頃。淡々と過ぎゆく日々の中で、たゑは思う。「人生の花道を輝かせたい!」 そんな時、街に出たたゑは、結婚相談所のショーウィンドーに飾られたウェディングドレスに、ふと惹きつけられる。人生のラストパートナーを求めて、たゑの“婚活”が始まった ―。

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2013年/日本/81分

監督:外山文治
出演:吉行和子/山本學/宝田明/田川可奈美/他
配給:東京テアトル

上映場所 ホール・ソレイユ(4F)
上映期間 2014/1/11(土)~1/24(金)終了
1/11(土)~1/17(金) ①12:00 ②18:20
1/18(土)~1/24(金) ①11:50 ②18:00

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