心を洗われる映画「ブータン 山の教室」

令和3年6月4日から「ソレイユ・2」で公開の「ブータン 山の教室」が、このコロナ禍にも拘らず至って好調だ。遠ざかっていた常連の高齢者の方も帰って来て下さり、とても嬉しい。

この映画は事前にDVDで観ていたのだが、最初にサンプルが送られてきた時は大変失礼ながら半信半疑だった。なにせブータンの映画なんて聞いたこともないしもちろん上映したこともない。

ところが実際観てみると、映画のクオリティーの高さに驚いてしまった。なんと第93回アカデミー賞国際長編映画賞ブータン代表作品との事である。よほど自信があったのだろうが、あっぱれと言うほかない。

ストーリーは、若手教師ウゲンが標高4800メートルの秘境ルナナ村の小学校に赴任を命じられる。本人はオーストラリアでミュージシャンになるのが夢だったので、最初は全くやる気がなく渋々赴任した。現地で待っていたのは真っ直ぐな瞳で彼の到着を待つ子どもたちと、圧倒的に美しい大自然だった。慣れない土地での生活に不安を拭えなかったウゲンだったが、村の人々と過ごすうちに自分の本当の居場所を見つけていく。

この映画の中で一番印象に残ったのは中心になる女の子の瞳が素晴らしく綺麗な事だ。こんな綺麗な瞳を見たことが無い。澄み切った純真無垢な心根なのだろう。全く素人の子供なのだが自然に映画に溶け込んでいる。この瞳に出会えただけでも嬉しい。それと大自然の風景。世界にまだこんな美しい所があるなんて本当に信じられないくらい美しい。風景だけでも一見の価値はある。それと教室の中で、ヤク(バッファローの一種みたいな動物)と一緒に授業するのもとても新鮮だった。昔の日本でも鄙びた農村の学校ではこういうシーンが有ったかも知れない。ホッコリとするノスタルジーを感じた。

本作は文部科学省の特選映画でもある。普段お堅い官僚のお歴々がこの映画を選定してくれた事に敬意を表すると共に、そのセンスに拍手を贈りたい。なかなかやるじゃないですか!いずれにせよ館主イチオシの映画であります。コロナ禍で疲弊する心をこの映画で是非是非癒して下さいネ!!!

 

2021年6月9日

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