どうか神様、私にあの子を返してください。
3歳の息子は、3年後、“よその子”となって見つかった。
中国で実際に起こった誘拐事件を基に、親たちの至上の愛を描くヒューマン・ミステリー
監督は、『君さえいれば 金枝玉葉』『ラヴソング』といったウェルメイドなラブストーリーから、『ウォーロード/男たちの誓い』などのアクション大作まで、ジャンルは様々なれど人間の感情の機微を描くことにかけて定評があるピーター・チャン。本作は、年間20万人もの子どもが行方不明になっていると言われる中国で、実際に起こった事件が基になっている。2008年3月に誘拐された男の子が、3年後の2011年2月に両親のもとに帰ってきたという事件を取り上げたドキュメンタリーを見たピーター・チャンは「すぐにこの映画を撮らなければ」と早急に製作にとりかかったという。児童誘拐の背後に横たわる「拡大する経済格差」や「一人っ子政策」など現代中国が抱える問題を果敢にあぶりだした本作は、中国国内で公開されるや大ヒットを記録、社会に反響を巻き起こし、公開後には刑法の改正法案により誘拐された子どもや女性を買うことは重罪とみなすと規定された。
【ストーリー】
2009年7月18日。中国・深圳。 下町で寂れたネットカフェを経営しているティエンは3歳の息子ポンポンと二人暮らし。ポンポンは週に一度離婚した元妻のジュアンと過ごしていた。ある日、近所の子どもたちと遊びに出かけたポンポンは、母親の車が通りすぎたことに気づきあとを追いかける。だが、母親の車を見失ったポンポンを、何者かが連れ去ってしまう。
夜になっても帰ってこないポンポンの捜索願をだすべくティエンは警察に電話するが、警察は「失踪後24時間は事件として扱えない」という。自力で捜そうと、駅に向かうがポンポンは見つからなかった。その後訪れた警察署で見た防犯カメラの映像には、男がポンポンを抱いて連れ去る姿が映っていた。署を出る際、ジュアンは「息子を返して!」と泣き叫ぶ。
その日から、ティエンとジュアンの息子捜しが始まった。インターネットで情報提供を呼びかけ、携帯電話番号を公表するが、かかってくるのは、報奨金目当ての詐欺かいたずらの電話ばかり。脅して金をせびろうとする者まで現れる。
罪の意識と後悔に苛まれながら、ポンポンを捜し続けるティエンとジュアン。ポンポンの失踪から3年が経った2012年の夏のある日、ティエンの携帯に着信が入る。ポンポンと見られる男の子が安徽省にいるという。安徽省の農村を訪れたティエンとジュアンはついに息子を見つけ出すが、6歳になったポンポンは両親であるティエンとジュアンをまったく覚えていなかった。
ポンポンが「母ちゃん」と慕うのは、ホンチンという“育ての親”だった。ホンチンは「私が子どもが産めないから、夫がよその女に産ませて3年前に連れてきた」と主張するが、一年前に死んだ彼女の夫が3歳のポンポンを誘拐し安徽省に連れてきたのだった。初めて知らされる事実に困惑するホンチン。
それから半年後。ティエンとジュアンは、いまだに「家に帰りたい」と言うポンポンの愛情を何とかして取り戻そうと、日々心を砕いていた。そしてホンチンもまた、我が子を奪われた母として、深圳へと向かう。それぞれの親たちの思いは、届くのだろうか――。
2014年/ 中国・香港合作 /130分/
原題:親愛的 Dearest
監督:ピーター・チャン
出演:ビッキー・チャオ/ホアン・ボー/トン・ダーウェイ/ハオ・レイ/チャン・イー 他
配給:ハピネット、ビターズ・エンド
上映場所 | ソレイユ2(地下) |
上映期間 | 5/28(土)~6/10(金) |
5/28(土)~6/3(金) | ①9:30 ②14:25 |
6/4(土)~6/10(金) | ①16:10 |
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