「ソレイユ映画館創業70周年」感謝のご挨拶

2018/10/06

 

いつも当館をご利用下さいまして、誠に有難うございます。

さて、当社は今年で映画館創業70周年を迎える事が出来ました。これもひとえにお客様を始めとして関係各位様の暖かいご支援の賜物と、心から厚く御礼申し上げます。

私の先々代が高松の現在地に、ようやく戦後の混乱が治まりかけた頃、何とか物資をかき集めて国の復興の一助になればと映画館を建設致しました。

当時世の中はまだ不安定で娯楽は殆ど無く、雨の日は雨漏りがする様なひどい状況下にも拘わらず連日大入り満員だったようです。子供心に覚えております事は、当時の映画館は今で言うテーマパークのようで、映画の始まる前や休憩時間の時に通路にゴザを敷いてお弁当を広げているご家族もいらっしゃいました。小屋がはねた後(業界用語で営業終了の意味)の館内清掃時には、何故かトマトのヘタが沢山落ちていました。私が思うに、まだしっかりとした果物が世の中に流通しておらず、お客様が果物替わりに召し上がったのではないでしょうか?

子供の時に記憶している作品の中で一番印象に残っているのは、何と言っても「嵐 寛十郎」主演の「鞍馬天狗」という映画です。自分の子供の様に可愛がっている「杉作」が悪漢共に囚われてしまい、鞍馬天狗が白馬にまたがって助けに行くシーンでは、館内から「いけ~!」とか「やれ~!」とかの掛け声と共に、まるで怒涛のような万雷の拍手が巻き起こりました。この時、子供ながらとても嬉しかった事と、「自分の親はなんと素晴らしい仕事をしているのだろう。」と尊敬しました。それ以降は喧嘩ばかりですが・・・(笑)

その後は、日本の高度経済成長に歩調を合わせるように昭和35年過ぎまで全盛期を謳歌し、年間の映画観客動員数は13億人を数えるに至りました。これは、単純に言えば日本の人口を1億人とすればお一人が年間13本の映画を鑑賞したことになります。邦画各社は人気映画スターの養成や人気シリーズ映画の構築で、なんと3本建て1週間興行という今ではとても信じられない程の映画が製作されていたという事です。

ところが、昭和38年~39年の皇太子のご成婚や東京オリンピックの開催などでテレビが全国に急速に普及し、毎年毎年観客は減少してしまいました。どんな業界にも技術革新による栄枯盛衰は常ではありますが、あまりの落差の大きさに我々は途方に暮れてしまいました。それから後もご存知の様に、VTRやDVD,衛星放送、パソコン配信、今に至ってはスマホでも安直に映画が楽しめる時代になりました。先ほどの年間映画観客動員数は、今では約1億5千万人と 10分の1程になっています。

しかし、昨今では各地にシネコン(シネマコンプレックス。大型商業施設内の複合映画館の意味。)が台頭し、映画興行界もかなり盛り返してまいりました。結局、映画自体が全くダメになったという事ではなく、映画の興行形態が変わった事と色々と違ったメディアで提供されるようになったという事でしょう。

どんな時代になっても映画の魅力は不変です。映画はいつもお客様に夢や希望や癒しを与え、人生を生きていく上での知恵や勇気を与えてくれます。かく言う私も、もう映画館の経営をあきらめかけていた時、大阪でまるで神に導かれるように「フラッシュダンス」を観て、帰った高松では「愛と青春の旅立ち」という映画を観て、感動と勇気をもらい映画館の再開を決意しました。これは出来すぎた作り話ではなく、全く本当の話です。昔から「灯台元暗し」というコトバがありますが、「映画屋が映画に教えられた。」或る意味滑稽な事かもしれません。もうあれから35年が経ちます。

香川県下にはシネコンが3か所あり、以前とは全く違って、やりたい作品を自由に選ぶことは、殆ど不可能な状態です。経営的には正直苦しいです。しかし、悔やんでも仕方ないので、何とか知恵と工夫で乗り切っていこうと考えています。1本でも多くの作品を上映し、末永くお客様に楽しんで頂く事が自分のミッションである事を強く銘記し、精進していこうと考えています。これからも当社を何卒宜しくお願い申し上げます。

なお、来る11月9日から11月15日まで「ソレイユ70周年記念映画祭」と銘打ちまして、各種イベントを行いますのでぜひお越し頂ければ幸いです。(詳細は当社HP,または劇場にお問い合わせ下さい。)

 

平成30年10月吉日

 

高松市亀井町10番地10

株式会社 ソレイユ

代表取締役 詫間 敬芳

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