『パレードへようこそ』【6/20~】

2015/04/28

第72回 ゴールデングローブ賞作品賞
(コメディーミュージカル部門)ノミネート!

英国サッチャー政権下、境遇の違う人々をつないだ深い友情と感動の実話

「大好き!」「愛さずにいられない」「愛しても愛し足りない」──まるで、待ち焦がれた運命の相手にめぐり会ったかのように、世界中の人々が英国のある映画に熱い想いを募らせている。いつもは辛口の評論家までが、メディアに寄せるのは批評というより、もはやファンレターのようだ。

ロッテントマトでも批評家94%観客93%の高い満足度を獲得、年齢や国籍に関係なく観る者すべての心を虜にしているのは、何と言っても初めて映画化が実現した知られざる実話であるということ。それも、本作のプロデューサーが最初にこの事実を耳にした時、「本当にあったことだなんて、とても信じられなかった」とその驚きを保証する物語なのだ。
2014年のカンヌ国際映画祭クィア・パルム賞受賞を皮切りに、ヨーロッパ各国で様々な賞を贈られると共にアメリカに上陸、見事ゴールデン・グローブ賞作品賞(ミュージカル・コメディ部門)へのノミネートを果たした。2015年の賞レースでも特等席が与えられるに違いないスペシャルな作品が、遂に日本へもやって来る。

ストーリー

1984年、不況に揺れるイギリス。サッチャー首相が発表した20カ所の炭坑閉鎖案に抗議するストライキが、4カ月目に入ろうとしていた。ロンドンに暮らすマーク(ベン・シュネッツァー)は、その様子をニュースで見て、炭坑労働者とその家族を支援するために、ゲイの仲間たちと募金活動をしようと思いつく。折しもその日は、ゲイの権利を訴える大々的なパレードがあった。マークは「彼らの敵はサッチャーと警官。つまり僕たちと同じだ。いいアイデアだろ?」と、友人のマイク(ジョセフ・ギルガン)を強引に誘い、行進しながらさっそく募金を呼びかけるのだった。

パレードの後、“ゲイズ・ザ・ワード”での打ち上げパーティで、マークは“LGSM(炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会)”を立ち上げる。だが、参加を表明したのは、書店主のゲシン(アンドリュー・スコット)と彼の恋人で俳優のジョナサン(ドミニク・ウェスト)、唯一の女性のステフ(フェイ・マーセイ)、両親に秘密で初めて参加したジョー(ジョージ・マッケイ)を始め、たった9人だった。

バケツを手に街角で集めた寄付金を送ろうと、全国炭坑労働組合に連絡するマーク。ところが、何度電話しても「レズビアン&ゲイ会」と名乗ると、「後でかけ直す」と切られてしまう。ここロンドンでも、まだ「ヘンタイ!」と罵声を浴びせられる彼らは、組合にとっては異星人に等しかった。

炭坑に直接電話すればいいんだ! またしてもマークのアイデアで、ウェールズの炭坑町ディライスの役場に電話すると、あっさり受け入れられる。数日後、ディライス炭坑を代表してダイ(パディ・コンシダイン)がロンドンまで訪ねてくる。「それでLGSMって何の略?」と訊ね、Lはロンドンの略だと思っていたと唖然とするダイ。だが、彼に偏見はなかった。その夜、生まれて初めてゲイ・バーを訪れたダイは、大勢の客の前で「皆さんがくれたのはお金ではなく友情です」と熱く語る。

ダイの感動的なスピーチのおかげでメンバーが増え、LGSMはディライス炭坑に多額の寄付金を送る。支援者への感謝パーティを企画した委員長のヘフィーナ(イメルダ・スタウントン)は、「絶対にもめごとが起きる」という反対を押し切ってLGSMの招待を決定するのだった。

ミニバスに乗って、ウェールズへと出発する主要メンバーたち。ジョーは両親に調理学校の実習旅行だと嘘をつき、故郷ウェールズの母親との確執を抱えたゲシンは留守番だ。やがてバスはウェールズに突入、平原の中どこまでも続く一本道を行き、ついに炭坑町に到着する。

委員長のヘフィーナや書記のクリフ(ビル・ナイ)が温かく迎えてくれるが、会場を埋める町人たちの反応は冷ややかで、マークのスピーチが終わると、続々と退場して行く。しかし、翌日になると、好奇心を抑えきれない人々が、彼らに様々な質問を投げかける。「どちらが家事をするの?」など無邪気な疑問に答えるうちに、互いに心を開き始めるゲイと町人たち。さらにジョナサンがダンスを披露、歓迎会は大喝采のなか幕を閉じる。

だが、組合と政府の交渉は決裂、ストは42週目に入り、サッチャーは組合員の家族手当を停止する。再び町を訪れたマークたちがさらなる支援を決意した矢先、町人の一人が新聞に密告、「オカマがストに口出し」と書き立てられ、LGSMからの支援を打ち切るか否か採決がとられることになる。今や町人たちと深い友情で結ばれたメンバーたちは資金集めのコンサートを企画するが、その先には思わぬ困難が待ち受けていた──。

パレード2014年/イギリス/121分

監督:マシュー・ウォーカス
出演:ビル・ナイ/イメルダ・スタウントン/ドミニク・ウェスト/パディ・コンシダイン/ジョージ・マッケイ
配給:セテラ・インターナショナル    

上映場所 ホールソレイユ(4F)
上映期間 6/20(土)~7/3(金)
6/20(土)~6/26(金) ①12:15 ②19:50
6/27(土)~7/3(金) ①10:20 ②18:50

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