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『ビヨンド・ユートピア 脱北』【2/16~】

2023/12/20

総移動距離1万2千キロメートル、4つの国境を越え、
50人以上のブローカーが協力する決死の脱出作戦

2023年サンダンス映画祭にて開催直前までシークレット作品として詳細を伏せられてきた1本のドキュメンタリーが、世界中から集った映画ファンや評論家、映画関係者達を震撼させた。それが北朝鮮脱北者の過酷な旅の実態が生々しく記録された恐るべき、そして映像的にも非常に貴重な作品『ビヨンド・ユートピア 脱北』である。
1949年9月の建国以来、70年以上にわたり北朝鮮社会を支配してきた金日成の一族は、国家を閉鎖された状態に保ってきた。北朝鮮に住む人々はそこが「地上の楽園」だと信じ、最高指導者である金一族を神と同等の存在として敬い慕う。しかし、一糸乱れぬ壮大なマス・ゲームや、華々しい軍事パレードの裏側で、ナチスのアウシュビッツやソ連のグラーグを模した強制収容所の存在、密告や拷問、処刑、飢えや貧困といったおぞましい人権侵害の数々が報告されている。

世界で最も閉ざされた国のひとつ・北朝鮮

この映画の中心となるのは、祖国北朝鮮を離れいくつもの国境や川、険しい山岳地帯を超えて危険な旅に乗り出す2人の幼い子どもと80代の老婆を含む5人の家族、国に残して来た子どもとの再会を切望する母親、そして、自由を求める彼らを強い使命感をもって支援する人々だ。
実に50人以上のブローカーが協力し、脱北ののち中国、ベトナム、ラオス、タイの4カ国を経由し最終目的地である韓国を目指す、総移動距離1万2千キロメートルの決死の脱出作戦が展開される。再現シーンは一切なく、撮影は制作陣のほか地下ネットワークの人々によって行われ、一部の詳細は関係者の安全のために伏せられている。スマートフォンや折りたたみ式携帯電話で撮影された映像は生々しく、いつどんな形で生死の分かれ目が訪れてもおかしくない、これ以上ないほどのスリルと危険に満ちている。

本年度ベスト・ドキュメンタリーの呼び声が高い”今観るべき傑作!

本作を手掛けたのは、戦争で荒廃したコンゴで性暴力を受けた女性達を保護するために設立された団体「シティ・オブ・ジョイ」の活動を追ったNetflixドキュメンタリー『シティ・オブ・ジョイ~世界を変える真実の声~』にて高い評価を得たマドレーヌ・ギャヴィン監督。また多数の著作を持ち、世界に北朝鮮の実体と祖国への想いを伝え続けるイ・ヒョンソを始め、数多くの脱北者やその支援者達が登場する。
楽園と信じた場所から人々はどのような想いで、外の世界に逃れていくのだろうか。そこには恐怖や憎しみと同時に祖国への郷愁や愛情も存在する。本作を観れば、難民となり生きる場所を探して必死に荒野をさまよいながらも、家族や友人を労る北朝鮮の人々の素顔が我々と全く変わらないことに気が付くだろう。
自由とは何か、楽園はどこにあるのか――深く心に訴え、観る者に強く問いかける本作は、サンダンス映画祭で圧倒的な支持を得てUSドキュメンタリー部門の観客賞を受賞。現時点(10/31)における全米批評家サイトRottenTomatoesのメーターは100%という高評価を記録しており、各映画メディアや評論家の間では2023年のベスト・ドキュメンタリーの呼び声高い作品だ。

STORY

韓国で脱北者を支援するキム・ソンウン牧師の携帯電話には、日々何件もの連絡が入る。これまでに1000人以上の脱北者を手助けしてきた彼が直面する緊急のミッションは、北朝鮮から中国へ渡り、山間部で路頭に迷うロ一家の脱北だ。幼い子ども2人と80代の老婆を含めた5人もの人たちを一度に脱北させることはとてつもない危険と困難を伴う。キム牧師の指揮の下、各地に身を潜める50人ものブローカーが連携し、中国、ベトナム、ラオス、タイを経由して亡命先の韓国を目指す決死の脱出作戦が行われる――。

 

2023年/アメリカ/115分/G
監督:マドレーヌ・ギャビン
原題:Beyond Utopia
配給:トランスフォーマー

上映場所 ホールソレイユ(4F)
上映期間 2/16(金)~2/29(木)
2/16(金)~2/22(木) ①17:55
2/23(金)~2/29(木) ①17:50

 

 

 

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