ゴルチエの自叙伝エンタテインメント
「ファッション・フリーク・ショー」
豪華絢爛なステージが出来るまでをドキュメント
2018年パリで初演を迎え、その後ロンドン公演を経て、2023年には東京・大阪の上演でアジア初上陸を果たし全世界35万人の観客を熱狂の渦に巻き込んだミュージカル「ファッション・フリーク・ショー」。企画・脚本・演出を手掛けたのはパリを代表する天才ファッションデザイナー、ジャンポール・ゴルチエだ。彼自身の半生をベースにしたショーの舞台裏を覗くと、創造の喧騒に満ちていた。
ステージでは、ゴルチエの絢爛豪華なオートクチュールを着飾ったダンサーがキレッキレに踊り狂う。パリコレで発表されたゴルチエの名作が続々と登場し、衣装のみならず舞台美術もスペクタクルかつファッショナブル。ショーミュージックは彼がデビューし大活躍した1970、80年代を代表するナイル・ロジャース、マドンナ、デヴィッド・ボウイ、ボーイ・ジョージらの名曲をゴルチエ自らチューン。彼のコレクションのようにエレガントでキッチュ、クラシックでパンク、扇情的で社会的に仕上がっている。この相反するテイストはゴルチエ・デザインの真骨頂でもある。
そんなゴージャスなミュージカルの企画からプレミアまでを、ゴルチエとその周りのクリエーターの声を交えて追う。デザイナーを志すこととなった幼少期の体験から、異端児としての苦悩や迷い、オートクチュールに対する執念、アイコンデザインが生まれたエピソード、ビジネスパートナーでもあった最愛の人との出会いと死まで、激動の生涯がゴルチエ自身の口から語られる。半世紀にわたり第一線でファッション界を牽引してきた彼の人生を支えたスペシャリストや友人たちも証言。一流ファッションデザイナーと言うと、非常にワガママもしくはとてもシャイというイメージが多いが、ゴルチエは大変気さく。チームから出されたアイデアを尊重する姿勢は、彼がここまでキャリアを築いた理由の一端が垣間見える。ゴルチエのためなら、と皆口をそろえて協力するのだ。
ゴルチエのパリコレに出ているおなじみのモデルたちも続々登場。スペインの女優ロッシ・デ・パルマは小学校の教師役で出演。たびたびゴルチエが衣装を担うペドロ・アルモドバル監督の映画でもおなじみの女優だ。ゴルチエがピカソの絵のようだと評するパルマは、阿吽の呼吸でコミカルかつヒステリックな教師を演じる。BGMで流れるマドンナもゴルチエの盟友。コーンブラ&コルセットでパフォーマンスするライブ衣装を見たことがある人も多いだろう。煌びやかなメットガラでの2人の様子がうかがえる。
ゴルチエは言う、「“違う”ことは、美しい」。彼のクリエーションは多様性に溢れ、この2020年代の世相を先取りしていた。美しいフリーク達が繰り広げるグラマラスでファンタスティックなショーの開幕までを追った、今だからこそ世に問うべきエンタテインメント・ドキュメンタリー。
STORY
奇想天外&ファンタスティックなデザインで有名なクチュリエ、ジャンポール・ゴルチエ。ファッションシーンで旋風を巻き起こしてきた彼が今回挑むのは、ミュージカル「ファッション・フリーク・ショー」だ。自身のコレクションと2足の草鞋を履いて創り上げるショーの舞台裏はトラブルの連続だった。
衣装合わせ、初のリハーサル、ダンサーの故障、演出のいざこざなどアクシデントに見舞われるゴルチエとそのチーム。制作が進むに連れて明かされるゴルチエの真実。愛するテディベアや親愛なるマリーおばあちゃん、唯一無二の恋人フランシス、1976年初のファッションショーの評価……本当のゴルチエが紐解かれる。マドンナ、ロッシ・デ・パルマ、カトリーヌ・ドヌーヴらゴルチエのミューズもカメオ出演。ファッション界の女帝アナ・ウィンターもなんと登場!
1970、80年代を彩ったヒットナンバー、豪華絢爛なオートクチュール、トップデザイナーが見せる仕事へのこだわりが詰まった制作秘話をドキュメント。果たして無事初日を迎えられるのか!?