TBSドキュメンタリー史上最大の問題作が、
半世紀の時を経て現代に蘇る
1967年2月9日、劇作家の寺山修司が構成を担当した
ドキュメンタリー番組『日の丸』がTBSで放送された。
街ゆく人々に「日の丸の赤は何を意味していますか?」
「あなたに外国人の友達はいますか?」
「もし戦争になったらその人と戦えますか?」
といった、人々が普段考えないような本質に迫る挑発的な質問を、
矢継ぎ早にインタビューしていくというもの。
放送直後から抗議が殺到、閣議でも問題視された曰くつきの番組である。
我々、「日本人」の正体に迫る
「現代に同じ質問をしたら、果たして?」
ドラマ制作部所属で、本作が初ドキュメンタリーとなる
若干28歳のテレビディレクター佐井大紀は、
1967年と2022年のふたつの時代を対比させることにより
「日本」や「日本人」の姿を浮かび上がらせようと、自ら街頭に立った。
映し出されるのは、過去、そして現代の日本と日本人の姿。
インタビュー対象者の生々しい表情と戸惑いは、
いつしか観る者の戸惑いへと変わっていく。
果たして、55年という決して短くない時間は、日本と日本人に
どのような変化をもたらしたのか、何が浮き彫りになるのか。
没後、40周年、
寺山修司が改めて問う”ニッポン”
「国家」とは何かを追い続けていた寺山修司が、テレビという公共の
電波を使った壮大な実験が「日の丸」だった。
当時、寺山は何を考えていたのか?
なぜ、テレビのタブーに触れる『日の丸』を制作したのか。
その意志は受け継がれ、今一度我々に問いかける。
“日の丸”とは、“国家”とは、そして“日本”とは?
予想外の急展開に我々はきりきり舞いしながら、テレビの限界に挑んだ人々の思いに触れ、激動の現代における自らの存在に気づかされる—。
没後40年となる2023年、
観る者を圧倒する「むき出し」のドキュメンタリーが誕生した。