引退を控えた孤高のお針子と、移民二世の少女。
出会うはずのなかった二人の人生が交差する---
ディオールのオートクチュール部門のアトリエ責任者であるエステルは、次のコレクションを終えたら退職する。準備に追われていたある朝、地下鉄で若い娘にハンドバッグをひったくられてしまう。犯人は郊外の団地から遠征してきたジャド。警察に突き出してもよかった。しかし、滑らかに動く指にドレスを縫い上げる才能を直感したエステルは、ジャドを見習いとしてアトリエに迎え入れる。時に反発しながらも、時に母娘のように、そして親友のように美の真髄を追い求め濃密な時間を過ごす二人だったが、ある朝エステルが倒れてしまう・・・。最後のショーは一週間後に迫っていた――。
ディオール専属クチュリエールが衣装監修
現役お針子の手仕事の美しさがスクリーンに登場!
映画の衣装デザイナーのキャリアを持ち、現在はディオール専属クチュリエ―ルのジュスティーヌ・ヴィヴィアン監修のもと、初代”バー”ジャケットや重ねづけされたプリーツが軽やかに揺れる”フランシス・プーランク”ドレスに、直筆のスケッチ画など、貴重なアーカイヴ作品の数々がスクリーンに登場する。出演は、フランスを代表する大女優ナタリー・バイと、『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』など話題作が続く注目株のリナ・クードリ。出会うはずのなかった二人の女性を結びつけたのは、自分の腕で生きていく覚悟と美を生み出す繊細な技術。ディオールのアトリエを舞台に繰り広げられる、眼福と感動の人生賛歌。