2003年イラク開戦前夜、英米政府を揺るがせた告発記事。
その記事は英国女性諜報職員のリークだった。
実話に基づく政府VS告発者の ポリティカル・サスペンス。
2001年9月11日、同時多発テロ事件が発生して以降、米国政府はテロへの報復感情からフセイン大統領が大量破壊兵器を開発していると喧伝し、イラク戦争開戦に向けあらゆる手段を講じていた。米国と共同歩調を取る英国の諜報機関GCHQ(政府通信本部)に勤務するキャサリン・ガンはある日、米国の諜報機関NSA(国家安全保障局)から、驚くべきメールを受け取る。イラクを攻撃するための違法な工作活動を促すそのメールに彼女は強い憤りを感じ、メールをマスコミにリークする。しかし、彼女の危険な賭けも虚しく、イラク戦争は開戦し、キャサリンは公務秘密法違反で起訴された。
ところが、裁判の土壇場で、誰もが予想もしなかった驚きの展開となる。政府職員のキャサリンをリークに突き動かした感情は何だったのか?
ひとりの女性の告発が多くの勇気と行動を生み出した現象は、いまなお現代社会への警鐘となり続ける。社会派作品を世に送り続けるギャヴィン・フッド監督が、後にキャサリン・ガン事件として大きな政治問題となった実話をそれぞれの当事者の立場から描き、サスペンスタッチで心揺さぶる人間ドラマに仕上げた。
STORY
2003年1月。英国の諜報機関GCHQ(政府通信本部)で働くキャサリン・ガン(キーラ・ナイトレイ)はある日、米国の諜報機関NSA(国家安全保障局)から送られたメールを見て愕然とする。英米がイラク侵攻を強行するため、国連安全保障理事会のメンバーに対するスパイ活動を指示するものだった。その内容に憤りを感じたキャサリンは、元同僚の友人を訪ね、マスコミにリークしたいと相談する。
2週間後、メールの内容が英国「オブザーバー」紙の一面を飾った。マーティン・ブライト記者(マット・スミス)の勇気ある告発記事だった。
英国の諜報機関GCHQでは、リークした犯人探しが始まり、職員一人一人への執拗な取り調べが繰り返された。キャサリンは、自分の仕事仲間にまで尋問が及ぶ状況に耐えきれず、自ら「リークしたのは自分だ」と名乗り出る。
しかし、キャサリンの告発も虚しく、イラク侵攻は開始され、キャサリンは起訴される。
キャサリンを救おうと人権派弁護士ベン・エマーソン(レイフ・ファインズ)らが立ち上がった。政府内の取材をするなかで、キャサリンの無実を確信していくが、相手は政府、簡単に勝てる相手ではない。
2004年2月25日、裁判が始まった。果たして、キャサリンは有罪か、それとも無罪か。しかし、驚きの結末が待っていた。