『永遠の門 ゴッホの見た未来』【1/17~】

2019/11/24

130年の時を経て、私たちはゴッホの視線で世界を見つめる。
ゴッホが、生涯をかけて伝えようとした、
〈この世の美しさ〉を体感するために―。

美術史上最も重要かつ人気の高い画家の一人、フィンセント・ファン・ゴッホ。生前に才能を認められず、孤独と共に生きたドラマティックなその人生は、これまで幾度も映像化されてきた。しかし、第75回ヴェネチア国際映画祭でワールドプレミアを飾り、ゴッホ役のウィレム・デフォーが男優賞を受賞、遂にはアカデミー賞®主演男優賞にもノミネートされた本作は、これまでとは全く異なるアプローチで、なぜゴッホの絵がこれほどまで長い年月にわたり、多くの人々の心をとらえて離さないのか、その核心に迫る。
ゴッホの魔法にかかると、見慣れていたはずのひまわりやアイリス、当たり前にそこにある星や月が不思議な魅力を放ち、観る者に“パラレルワールド”に踏み込んだような陶酔感をもたらす。それこそが、実際にゴッホの見ていた〈世界〉であり、彼は「自分だけに見えるその美しさを人々に伝えたい」という使命と情熱から絵筆をとったと考えたのが、同じ画家としてゴッホの作品と長年向き合ってきたジュリアン・シュナーベル。映画監督としても、『潜水服は蝶の夢を見る』でアカデミー賞®4部門にノミネートされ、カンヌ国際映画祭とゴールデン・グローブ賞の監督賞を獲得した偉才が、自然界の色と光という無限のパレットを自在に操り、スクリーンというカンバスに、ゴッホが見た〈夢〉を再現。ゴッホの目を通した〈世界〉を、自分の目で見ることが出来る──そんな驚くべき体験を与えてくれる、稀有なる映画を完成させた。

撮影前から南フランスのアルルの大地を歩き回り、シュナーベルに絵画を学び、まずは肉体からやがて存在そのものまで、ゴッホへと変貌していったデフォー。そのキャリアの集大成にして頂点の演技を、ワールドワイドに活躍する実力派俳優たちが支えた。アルルでのひと時を共に暮らしたゴーギャンには、『スター・ウォーズ』新シリーズのオスカー・アイザック。有名な事件によって最後は決裂したとされるゴッホとゴーギャンの友情にも、温かな光を灯すような新たな解釈が加えられた。さらに、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のマッツ・ミケルセンや、『潜水服は蝶の夢を見る』でもシュナーベルとタッグを組んだマチュー・アマルリックやエマニュエル・セニエらが出演。
脚本は、『存在の耐えられない軽さ』のジャン=クロード・カリエール。アカデミー賞®名誉賞を授与された映画界のレジェンドが、いまだにいくつもの説が混在するゴッホの謎の死にも、一つの答えを提示する。
未来の人々までも救うことが出来る、芸術という贈りものを遺すことに、自分が生まれてきた意味を見出していくゴッホ。彼の魂が自由に羽ばたける高みへと解き放たれるその瞬間、あなたの傷ついた魂も解放される、感動の一大アートエンターテイメント。

STORY

画家としてパリでは全く評価されていないフィンセント・ファン・ゴッホ(ウィレム・デフォー)。彼は、会ったばかりのゴーギャン(オスカー・アイザック)の「南へ行け」というひと言で、南フランスのアルルへやって来る。「まだ見ぬ絵を描くために、新しい光を見つけたい」というゴッホの願いは、この地で春を迎えた時に叶えられた。
行きつけのカフェのオーナーであるジヌー夫人(エマニュエル・セニエ)に頼んで、“黄色い家”を紹介してもらったゴッホは、ゴーギャンの到来を待ちわびる。
広大な畑をひたすら歩き、丘に登って太陽に近づき、画材を取り出すゴッホ。竹の枝で作ったペンの先から、たちまちゴッホだけの線が生まれていく。どこまでも続く風景に絶対的な美を見出したゴッホは、「永遠が見えるのは僕だけなんだろうか」と自身の胸に問いかける。風になびく麦の穂や沈みゆく太陽を見つめるゴッホの瞳は、不思議な輝きを放っていた。

ある時、地元の人々とトラブルになったゴッホは、強制的に病院へ入れられる。駆け付けてくれた弟のテオ(ルパート・フレンド)にも、初めて特別なものが見えることを打ち明けるのだった。
やがて一緒に暮らし始めたゴッホとゴーギャンは、“絵を描く”ことについて際限なく議論を交わす。自然を見て描くゴッホと、自分の頭の中に見えるものを描くゴーギャン。一瞬で真実を捉えようと素早く描くゴッホ、ゆっくりと降りてくるのを待つゴーギャン。屋外に美を探し求めるゴッホ、内面に深く潜るゴーギャン、すべては正反対だ。それでもゴッホは、「僕らの時代だ」と熱く語るゴーギャンに心酔し、ますます創作にのめり込むが、やがてゴーギャンが去って行くことは止められなかった。
再び一人になり絶望したゴッホをこの世に繋ぎとめたのは、描き続ける情熱だけだった。相変わらず1枚の絵も売れない日々の中、ゴッホは神父にそっと語る。「未来の人々のために、神は私を画家にした――」
もはや彼の眼差しに不安の影はなかった。晴れ晴れと穏やかなその瞳が最期に映したものとは――。

 

2018年/イギリス・フランス・アメリカ合作/111分
監督:ジュリアン・シュナーベル
原題:At Eternity's Gate
出演:ウィレム・デフォー/ルパート・フレンド/オスカー・アイザック/マッツ・ミケルセン/他
配給:ギャガ、松竹

上映場所 ホールソレイユ(4F)
上映期間 1/17(金)~1/30(木)
1/17(金)~1/23(木) ①10:00 ②17:05
1/24(金)~1/30(木) ①9:30 ②16:00

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