絶望の思春期を突き進む、
超〈変態〉狂騒劇!
原作は、押見修造の代表作「惡の華」。「別冊少年マガジン」にて、2009年から2014年まで連載され、〈中学編〉と3年後の〈高校編〉からなる、思春期の暗黒面をえぐり出した衝撃作は、当時はもちろん現在に至るまで熱狂的な共感と支持を集め続けている。
主人公の春日高男を演じるのは伊藤健太郎。2014年に俳優としてデビューして、ドラマや舞台に次々と出演し、目覚ましい成長を遂げており、ブレイク間違いなしの注目株だ。撮影当時21歳だった伊藤は、テクニックと熱量を注ぎ込み、爽やかで健康的な好青年というパブリックイメージを打ち破り、新境地を開拓した。
春日の人生観に決定的な影響を与える仲村佐和を演じたのは、女優として開花しつつある玉城ティナ。本作でもその圧倒的なビジュアルで、何者ともなじまない異質な存在の仲村に、カリスマ性を与えている。
監督を務めるのは、カルト&ファンタスティックな作品を作り続けてきた井口昇。原作の最初の数ページを読んだだけで「この作品を映画にするために、映画監督になったのではないか」という直感と衝撃を受け、自ら実写化に向けて奔走した。原作者の押見修造が「井口監督に『惡の華』を撮っていただくことは、長年の夢でした」とコメントしているように、2には相思相愛。脚本の細部に至るまでディスカッションを重ねた結果、原作者と監督のお互いへの尊敬と、作品やキャラクターへの愛情が詰まった、映画『惡の華』が誕生した。
あの夏、僕は仲村さんと出会い、リビドーに目覚めた。
山々に囲まれた閉塞感に満ちた地方都市。中学2年の春日高男は、ボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所に、息苦しい毎日をなんとかやり過ごしていた。ある放課後、春日は教室で憧れのクラスメイト・佐伯奈々子の体操着を見つける。衝動のままに春日は体操着を掴み、その場から逃げ出してしまう。その一部始終を目撃したクラスの問題児・仲村佐和は、そのことを秘密にする代わりに、春日にある“契約”を持ちかける。こうして仲村と春日の悪夢のような主従関係が始まった…。
仲村に支配された春日は、仲村からの変態的な要求に翻弄されるうちに、アイデンティティが崩壊し、絶望を知る。
そして、「惡の華」への憧れと同じような魅力を仲村にも感じ始めた頃、2人は夏祭りの夜に大事件を起こしてしまう…