『或る終焉』【8/20~】

2016/06/14

 第68回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞!

孤独な魂が寄り添う―――親密なる最後のとき

ある看護師の献身愛と葛藤が導く、
美しき命の果て
世界を騒然とさせたその結末に、
あなたの胸は貫かれる

アカデミー賞®受賞の功績を持つアレハンドロ・G・イニャリトゥやアルフォンソ・キュアロンなどの世界的巨匠を輩出し、常に一歩先を行く大胆かつ繊細な視点と唯一無二のエンターテイメント性で世界を熱狂させてきたメキシコの映画芸術。彼らにつづき、メキシコ次世代を担う新たな才能は、あくまでクールなまなざしが持ち味の新鋭だ。2009年に長編監督デビューをして以来、わずか2作目の『父の秘密』(12)が第65回カンヌ国際映画祭 「ある視点」部門にてグランプリ受賞。

続く、3作目の本作が第68回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞と、映画監督としてはまだ短いキャリアにもかかわらず、世界最高峰の映画祭を魅了してやまない俊英ミシェル・フランコである。36歳という若さでありながら“人間”を深く抉り出す、研ぎ澄まされたその観察眼に私たちは驚きを隠しえない。

また、主人公デヴィッドに扮したのは、主演としてバイプレイヤーとしてさまざまな監督に愛され、幅広いキャラクターをこなしてきた名優ティム・ロス。患者の残りわずかな最期のときを、家族をも超越した距離感で共に過ごす看護師を演じ、役者としての真骨頂を見せてくれる。

 本作は、今日最も注目されている終末期医療をテーマに、“看護師”と“患者”という“親密な他人”の関係性をあくまでリアルに定点観測のごとく冷静に映し出す。監督自身の体験談から紡ぎだされた絶対的説得力のある脚本、一方で、作品全体に漂う決して説明的ではない静謐な余白は、観る者に挑発的なまでにあらゆる感情と憶測をもたらす。そして、想像をはるかに超えたその “命のゆくえ”は私たちに、美しくも強烈な余韻を残してくれるにちがいない。

【ストーリー】

デヴィッド(ティム・ロス)は、終末期患者の看護師をしていた。 別れた妻と娘とは、息子ダンの死をきっかけに疎遠となり、一人暮らし。彼には、患者の在宅看護とエクササイズに励む以外の生活はなく、患者が望む以上に彼もまた患者との親密な関係を必要としていた。 ある日デヴィッドは、末期がんで苦しむマーサ(ロビン・バートレット)に安楽死を幇助して欲しいと頼まれる。患者への深い思いと、デヴィッド自身が抱える暗い過去・・・その狭間で苦悩する彼が下した壮絶な決断とは――。

poster22015年/メキシコ・フランス合作 /94分/
原題:Chronic
監督:マイケル・フランコ
出演:ティム・ロス/サラ・サザーランド/ロビン・バートレット/マイケル・クリストファー/デビッド・ダストマルチャン他
配給:エスパース・サロウ

上映場所 ソレイユ2(地下)
上映期間 8/20(土)~9/2(金)
8/20(土)~8/26(金) ①13:55 ②18:00
8/27(土)~9/2(金) ①9:40

[margin_5t](C)Lucía Films–Videocine–Stromboli Films–Vamonos Films–2015 (C)Credit photo (C)Gregory Smit

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