『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』【5/17~6/6】

2014/05/17

回り道がもたらした人生最高の当たりくじ

何があっても、人生は素晴らしい──些細な日常と人々の感情のひだをやさしいまなざしで見つめ、人生の豊かさを謳いあげるアレクサンダー・ペイン。世界中を笑いと涙で包んだ『アバウト・シュミット』、アカデミー賞5部門ノミネートと脚色賞受賞を果たした『サイドウェイ』『ファミリー・ツリー』で、今や比類なきヒューマンドラマの名手として讃えられるペイン監督の待望の最新作が完成した。
2013年のカンヌ国際映画祭では、主人公のウディを演じた名優ブルース・ダーンがマイケル・ダグラス、ライアン・ゴズリング、福山雅治ら並みいる実力派俳優たちを抑えて、最優秀主演男優賞を獲得するという快挙を成しとげた。ダーンにとって、混乱を来す老齢のウディ役は、長いキャリアの中でも初めての挑戦だった。大金が当たったと信じこむ男のおかしみと切なさを飄々と演じながら、戦争に傷つき、黙々と働いてきたウディのようなありふれた男たちが、今の社会を底辺で支えてきたことを滲みだしていく。それは普遍的な父親像そのもので、誰しもがウディを通して自身の父親と再会し、胸を熱くするに違いない。

【ストーリー】
誰が見ても古典的でインチキな手紙をすっかり信じてしまったウディは、はるか遠く離れたネブラスカまで歩いてでも賞金を取りに行くと言ってきかない。大酒飲みで頑固なウディとは距離を置いていた息子のデイビッドだが、そんな父親を見兼ねて骨折り損だと分かりながらも、彼を車に乗せて4州にわたる旅へ出る。途中に立ち寄ったウディの故郷で賞金をめぐる騒動に巻きこまれる中、デイビッドは想像すらしなかった両親の過去と出会うのだが……。
本作では、不格好だけれど人間味にあふれた愛すべきキャラクターたちが、人生と向きあい、家族とのつながりを取り戻していく姿が、おかしくもチクリと鋭く描かれる。それは知らぬ間に共感してしまう、どこにでもある家族の風景で、いつしか彼らを愛おしく思わずにはいられない。
回り道ばかりの旅の途上で、“本当の賞金”に気づきはじめる父と息子──物語の最後に待つ、人生最高の当たりくじをあなたにも──。

ネブラスカポスター
2013年/アメリカ/115分

監督:アレクサンダー・ペイン
出演:ブルース・ダーン/ウィル・フォーテ/ジューン・スキッブ/他
配給:ロングライド

上映場所 ホール・ソレイユ(4F)
上映期間 5/17(土)~6/6(金)終了
5/24(土)~5/30(金) ①9:30 ②16:00
5/31(土)~6/6(金) ①9:10

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