『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』【11/1~】

2014/10/31

第70回ヴェネチア国際映画祭 金獅子賞受賞

未来へと突き進む大都市ローマと、そこからこぼれ落ちた人々の愛おしき人生

第70回という節目のヴェネチア国際映画祭にて、ベルナルド・ベルトルッチ監督や坂本龍一など審査員から満場一致の絶賛を浴び、『風立ちぬ』などの強豪を押し退け金獅子賞を受賞。映画祭史上初のドキュメンタリー映画の受賞という偉業を成し遂げた。 ジャンフランコ・ロージ監督は、ひとりの人物と何カ月間も行動を共にし、撮影者と被写体という枠を超えた親密な信頼関係を築いた後に、そっと数時間だけカメラを回す。その人物の個性や過去や想いの全てが凝縮された画面には、濃厚な時が溢れている。現代イタリア文学を代表する作家イタロ・カルヴィーノの幻想小説「見えない都市」にインスパイアされ、2年半もの時間をかけて創り上げた圧縮された人生の断片は、フィクションよりもドラマチックに私たちの心に突き刺さる。 劇映画と見紛うほどの美しい映像美、ストイックに削ぎ落とされたシーンの持つ緊張感、まるで音楽を奏でる音符のように軽やかに羅列される登場人物たちがやがて繋がり、普遍的な一つの物語を紡いでゆく。私たちはゆっくりと1冊の写真集を眺めるような贅沢な時間の流れのなかで、愛おしき人々の生き様を目撃する。

【イントロダクション】1日の車の交通量16万台、全長約70㎞、大都市ローマを取り巻く大動脈「環状線GRA」。その周辺には旅行者たちが知らない愛すべき人たちの暮らしがある。木の中の「音」世界を研究し続ける植物学者。ブルジョアを装い偽りの今を生きる没落貴人。不釣り合いなモダンな建物に移り住みあてもなくお喋りしながら暮らす老紳士とその娘。事故現場で人命救助を行い、その合間を縫って年老いた母親の面倒をみる救急隊員。伝統を守りつつ後継者がいないことを憂うウナギ漁師。子守唄を口ずさむ両性具有の車上生活者。スポットライトを浴びることもなく懸命に生きる人々の人生に目を留めると、その風景の中に喜び、怒り、哀しみ、そして夢が見えてくる――。

ローマポスター
2013年/イタリア/93分

監督:ジャンフランコ・ロージ
配給:シンカ

上映場所 ソレイユ・2(地下)
上映期間 11/1(土)~11/21(金)終了
11/8(土)~11/14(金) ①12:05 ②18:35
11/15(土)~11/21(金) ①17:30

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