「エメット・ティル殺人事件」初の映画化
公開されるやいなや、各国の映画祭で賞賛の嵐が巻き起こり、主要60映画祭21部門受賞86部門ノミネートで賞レースを席巻。製作には、『007』シリーズのスタッフと黒人女優として世界的な人気を誇るウーピー・ゴールドバーグが名を連ね、メイミー・ティルを演じた主演のダニエル・デッドワイラーは、数々の映画賞で女優賞を総なめにした。
1955年8月28日にアメリカ合衆国ミシシッピ州マネーで実際に起きた「エメット・ティル殺人事件」は、アフリカ系アメリカ人による公民権運動を大きく前進させるきっかけとなったことで知られている。この事件は、14歳黒人少年エメットが白人女性に対して「口笛を吹いた」という理由で拉致され、激しいリンチを受けて殺されたあげく、遺体は川に投げ捨てられた。愛息を失った底知れぬ絶望を胸に、多くの黒人の生活を脅かすアメリカ社会にたった一人で立ち向かった母メイミーの大胆な行動力は人々に勇気を与え、キング牧師らが率いた公民権運動を一気に加速させる原動力となった。
「エメット・ティル殺人事件」から60年以上の時を経た今だからこそ知ってほしい。これは、息子を愛する一人の母親の愛と勇気の物語であり、同時に、自由と人権を求めて世界を変えた一人の人間の魂の実話である。