ホン・サンス監督×キム・ミニが魅せた新境地
主演女優イ・ヘヨン、圧巻のパフォーマンス
2022年ベルリン国際映画祭で長編27作目『The Novelist’s Film』で銀熊賞(審査員大賞)を受賞、3年連続銀熊賞受賞の快挙を果たしたホン・サンス監督が、『イントロダクション』と同じく2021年に発表した長編26作目『あなたの顔の前に』。カンヌ国際映画祭プレミア部門オフィシャルセレクションに招待され、中年女性が主役となる本作は、公私にわたるパートナーのキム・ミニがプロダクション・マネージャーを務めたことで話題を集めた注目作だ。
本作でホン・サンス作品に初登場にして主演を飾ったのは、韓国歴代の名監督とタッグを組んできた大女優イ・ヘヨン。観る者の心を揺さぶる圧巻のパフォーマンスでミステリアスかつ複雑な主人公を体現し、2022年国際シネフィル協会賞主演女優賞を受賞。『The Novelist’s Film』でも主演を務めている。
残された人生を、いかに心穏やかに生きていけるのか
たった1日の出来事を通して触れる1人の女性の心の深淵
突如として人生の岐路に立たされた元女優の主人公サンオクが、捨て去った過去と向き合いながら、かけがえのない心のよりどころを見出していく一日の出来事を描出した本作。ホン監督の作品としては異例ともいえるドラマチックなストーリー展開に「ホン・サンスの最も感動的な作品の1つ」(Sight and Sound)と評され、公私にわたるパートナーのキム・ミニがプロダクション・マネージャーを務めたことも話題の一作である。 生々しくスリリングな会話を捉えた約12分間にわたる長回しショット、劇中の“告白”によって明かされるタイトルの意味に心揺さぶられながら、複雑で豊かな感情揺らめくサンオクの心の旅に、ホン・サンス監督の新境地がうかがえる珠玉のドラマが誕生した。
STORY
長いアメリカ暮らしから突然、妹ジョンオクの元を訪ねて韓国へ帰国した元女優のサンオク。母親が亡くなって以来、久しぶりに家族と再会を果たすが、帰国の理由を妹には明らかにしない。彼女に出演オファーを申し出る映画監督との約束を控えていたが、その内面には深い葛藤が渦巻いていた。サンオクはなぜ自分が捨てたはずの母国に戻り、思い出の地を訪ね歩くのか?捨て去った過去や後悔と向き合いながら、かけがえのない心のよりどころを見出していく、たった一日の出来事が描かれていく。
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