原因不明の病と闘った一人の女性と生きる希望をつないだ家族の感動の実話
最愛の両親や大切な恋人、あるいは自分自身が、ある日突然、人格を奪われ正気と狂気の間をさまよう病にかかったとしたら──
あり得ないと思うかもしれないが、その病は日本でも年間1000人ほどが発症していると推定されている。
決して、遠い国の縁のない話ではないのだ。
主な症状は、感情がコントロールできなくなり、幸福と絶望を行き来し、周りの人々に人間性が崩壊したかのような毒舌を吐く。
やがて昏睡に陥りそのまま死に至ることもあるという。
大ヒット映画『エクソシスト』の悪魔にとりつかれた少女リーガンを思い出してほしい。
彼女のモデルになった実在の少年は、実はこの病の典型的な症例だったと指摘されている。
2007年、つまりは21世紀になってようやく急性脳炎の一つと位置付けられ、正式に「抗NMDA受容体脳炎」という名前が与えられるまで、精神の病や悪魔憑きと判定され、正しい治療を受けることすら難しかったのだ。
2009年にこの病にかかった、ニューヨーク・ポスト紙の記者であるスザンナ・キャハランが、壮絶な闘病の日々を、医療記録や家族の日誌などから再現したノンフィクションを発表。
彼女も医師から原因不明と見放されたが、決して諦めなかった両親と恋人の尽力で、遂には人生を取り戻す。
スザンナと家族の闘いに感銘を受けたオスカー女優のシャーリーズ・セロンがプロデュースに乗り出し、『キック・アス』で大ブレイクを果たしたクロエ・グレース・モレッツを主演に迎え、全米で大ベストセラーを記録した衝撃の実話の映画化を実現させた。
迫りくる死―検査結果は”異常なし”
「彼女が目覚めるその日」を信じ続けた人々の愛の物語
【ストーリー】
21歳のスザンナ・キャハラン(クロエ・グレース・モレッツ)の毎日は、希望と喜びに満ちていた。
憧れのニューヨーク・ポスト紙で、まだ駆け出しだが記者として働き、いつか第1面を飾る記事を書くと燃えている。
プライベートでも、プロのミュージシャンを目指すスティーヴン(トーマス・マン)と付き合い始め、会うたびに互いの想いが深まっていた
そんな中、父(リチャード・アーミティッジ)と母(キャリー=アン・モス)が、バースデイ・パーティを開いてくれる。
二人は離婚していたが、娘のスザンナを通して良好な関係を築いていた。
それぞれのパートナーとスティーヴンに囲まれて、ケーキのキャンドルを吹き消そうとした時、スザンナは初めて体調の異変を感じる。
皆の声が遠のき、めまいを覚えたのだ。
彼女の才能を認める先輩記者のマーゴ(ジェニー・スレイト)からの後押しもあっての大抜擢だ。
ところが、スザンナの体調は、日に日に悪化していく。
視界が揺れ、会話も聞き取れず、夜も眠れなくなり、締め切りを破るだけでなく綴りや文法までミスしてしまう。
やがて手足が麻痺するようになり、病院で診察を受けるが、検査結果はすべて異常なしだった。
リチャードから激しく叱責されるが、なぜそんな言葉が口から出たのか、スザンナ自身にも分からなかった。
今度は突然、激しい痙攣の発作を起こすようになるスザンナ。
両親に付き添われて精密検査を受けるが、やはり異常はない。
そうこうするうちに、劇的な幸福感に包まれてはしゃいだかと思うと、その直後には深い絶望感と被害妄想が沸き起こって周囲の人々を罵倒するようになり、会社の上司はもちろん、両親さえも手に負えなくなってしまう。
何度検査を受けても、医師たちは「異常なし」と繰り返し、精神の病だと決めつける。
必ず原因を究明すると決意した両親と、「絶対に治るから、一緒に頑張ろう」と誓ったスティーヴンが支え続けるが、次第にスザンナは手足が動かなくなり、全身が硬直し、口さえきけなくなってしまう。
あと3日間の観察で変化がなければ、精神科へ転院させると宣告する医師たち。
期限が迫るなか、一人の医師がスティーヴンの“ある言葉”に突き動かされるのだが──。
2016年/ カナダ・アイルランド合作 / 89分/
原題: Brain on Fire
監督:ジェラルド・バレット
出演:クロエ・グレース・モレッツ/トーマス・マン/リチャード・アーミテージ/ジェニー・スレイト/キャリー=アン・モス 他
配給: KADOKAWA
上映場所 | ホールソレイユ(4F) |
上映期間 | 2/24(土)~3/9(金) |
2/24(土)~3/2(金) | ①13:55 ②20:15※レイトショー |
3/3(土)~3/9(金) | ①16:10 |
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