『サラエヴォの銃声』【6/17~】

2017/04/18

 第66回ベルリン国際映画祭 銀熊賞〈審査員グランプリ〉/国際批評家連盟賞

第一次世界大戦のきっかけとなった皇太子夫妻暗殺、
通称サラエヴォ事件から100年の式典。
ホテルヨーロッパの緊迫は、再び一発の銃声で破られる――。

“ホテル・ヨーロッパ”は、第一次世界大戦のきっかけとなったサラエヴォ事件から100年の記念式典を行うための準備に追われていた。ホテルに集うさまざまな人たち―仕事熱心な美しい受付主任、屋上で戦争と結果についてインタビューするジャーナリスト、100年前の暗殺者と同じ名を持つ謎の男、演説の練習をするVIP、ストライキを企てる従業員たちとそれを阻止しようとする支配人。人びとの思惑が複雑に絡み合い、次第に狂いだす運命の歯車。やがて高まる緊張のなか、ホテルに一発の銃声が鳴り響く——。
「明快かつ大胆!」「風刺に満ちた傑作!」と世界が絶賛! 見事ベルリン国際映画祭で二冠に輝き、本年度アカデミー賞®外国語映画賞ボスニア・ヘルツェゴビナ代表に選出された。

アカデミー賞®外国語映画賞など数々の賞を受賞した『ノー・マンズ・ランド』で衝撃のデビューを飾り、『鉄くず拾いの物語』でベルリン国際映画祭三冠に輝いた、名匠ダニス・タノヴィッチ監督。社会問題を題材にしながら、その並外れた演出力で世界を唸らせてきた監督の最新作は、歴史上最大の事件「サラエヴォ事件」を現代に呼び起こし、さらにはヨーロッパの過去・現在を見事にあぶり出す大胆でサスペンス感溢れる傑作だ。
屋上、ロビー、リネン室、ゲストルーム、地下階層と交互に切り取られるさまざまな人びとの人生。登場人物たちが発するリアリティのある台詞の数々。そこから見えるのは、いまだ複雑化しているサラエヴォの悲劇の歴史、混沌としていく人びとの感情だ。手に汗握る展開のなかに差し込まれる、故郷サラエヴォへ向けた監督の風刺を効かせた眼差し。サラエヴォ事件とホテル・ヨーロッパという限られた事件、空間を描きながら、テロが頻発し民族同士の争いが絶えない、いまの世界の縮図を見事に浮き彫りとさせている。

原案は、2014年6月にサラエヴォの国立劇場でプレミア上演された、ベルナール=アンリ・レヴィによる戯曲「ホテル・ヨーロッパ」。サラエヴォのホテルの一室での男のモノローグという設定からアイディアを広げてゆき、監督の手腕によって見事群像サスペンスに昇華させた。戯曲版にも出演するフランスで最も偉大な俳優の一人 ジャック・ウェバーをはじめとした、テレビドラマを中心に活躍するスネジャナ・ヴィドヴィッチや、『サラエボ,希望の街角』のイズディン・バイロヴィッチら役者陣の抜群の存在感、シリアスな演技が映画に重厚さを与えている。さらに監督作品の常連であるエロル・ズブツェヴィッチによる流麗なカメラワークがホテル内を動き回り、緊張途切れぬ心理描写を見事に映し出す。観る者は、同時進行で繰り広げられる混沌とした人間模様をカメラと一緒に目撃していく。

【ストーリー】

サラエヴォのホテル“ホテル・ヨーロッパ”は、第一次世界大戦のきっかけとなったサラエヴォ事件から100年の記念式典を行うための準備に追われていた。その日、ホテルにはさまざまな人たちが集っていた―仕事熱心な美しい受付主任、屋上で戦争と結果についてインタビューするジャーナリスト、100年前の暗殺者と同じ名を持つ謎の男、演説の練習をするVIP、ストライキを企てる従業員たちとそれを阻止しようとする支配人…。
同時進行にさまざまな場所で、人びとの思惑が複雑に絡み合っていく。やがて次第に狂いだす運命の歯車。
“ホテル・ヨーロッパ”の緊迫は、100年の時を越えてふたたび一発の銃声で破られることになる——

2016年/ フランス・ボスニア・ヘルツェゴビナ合作 /85分/
原題:Smrt u Sarajevu
監督:ダニス・タノビッチ
出演:ジャック・ウェバー/スネジャナ・ビドビッチ/イズディン・バイロビッチ/ベドラナ・セクサン/ムハメド・ハジョビッチ 他
配給:ビターズ・エンド

上映場所 ソレイユ2(地下)
上映期間 6/17(土)~6/23(金)
6/17(土)~6/23(金) ①15:00

[margin_5t](C) Margo Cinema, SCCA/pro.ba 2016

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