『カスリコ』【8/30~】

2019/06/30

男は己の人生に勝てるのか、
再びどん底に落ちるのか---

昭和40年代、土佐。高知一の料理人と呼ばれた吾一(石橋保)は、「賭博の終着駅」と言われる“手本引き”で破滅。途方に暮れていたところをヤクザの荒木(宅麻伸)に拾われ、かつて自分が客として入り浸った賭場の下働き「カスリコ」として働き始める。行き場のない吾一はプライドを捨てて懸命に働くが、賭場の客たちやカスリコ仲間の悲喜交々を目の当たりにし、やがて人生を賭けた最後の大勝負に挑む―。

キャストは、1986年に映画『君は裸足の神を見たか』の主演で俳優デビューを果たし、2018年にはドラマ「正義のセ」や「Missデビル 人事の悪魔・椿眞子」に出演するなど活躍を続ける実力派・石橋保と、ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズで新たな魅力を見せつけた宅麻 伸という2人の名優をメインに迎え、中村育二、山根和馬、金児憲史、伊嵜充則、高橋かおり、高橋長英、小市慢太郎といったベテラン俳優が脇を固め、骨太な芝居を見せる。また、西村雄正、大家由祐子、鎌倉太郎、池上幸平、掛水杏樹ら高知県の俳優がネイティブの土佐弁を披露しており、舞台・土佐の魅力をいかんなく発揮している。

高知在住の國吉卓爾が放蕩三昧だった若い頃に目にした、賭場の人間模様を基にシナリオを執筆し(第26回新人シナリオコンクール準佳作受賞作)、映画『ビー・バップ・ハイ・スクール』、『あぶない刑事』、『マルタイの女』をはじめ、殺陣師として活躍する高瀨將嗣が監督を務め、賭場での札のやり取りには殴り合いを凌駕する緊張感が溢れる。“手本引き”に翻弄される人々、盆中(賭場)に満ちる冒険的で愛おしい人生の哀歓を全編モノクロ、オール高知ロケによって描き出した。

あらすじ

昭和40年代、土佐。賭博「手本引き」にのめり込み破滅した岡田吾一(石橋保)は、高知一と言われた自身の料理屋を手放し、妻子を妻の故郷に帰し、途方に暮れていた。家も金もなく、空腹に耐えかねて神社で項垂れていると、一本筋の通ったヤクザ 荒木五郎(宅麻伸)が現れ、「カスリコ」の仕事を紹介するという。カスリコとは、賭場で客の世話や使い走りをして、僅かなご祝儀をめぐんでもらう下仕事だ。行き場のない吾一は、かつて自身が客として入り浸った賭場に、立場を変えてカスリコとして再び出向くことにする。
が、常連客であるコバケンの引き立てや、商売人の才覚もあり、少しずつカスリを増やしていく。ところがある日、コバケンが自殺したことを知る。コバケンは、賭博で抱えた巨額の借金で追い詰められていたのだという。吾一は大きくショックを受けるが、実は、こういった賭場客の地獄を近くで見ることこそ、賭博から足を洗うのに必要だ、という荒木の考えがあったことを知る。

三年の歳月が流れ、すっかり賭博をやめた吾一だったが、かつて激しい勝負をした伝説の賭博師・寺田源三(高橋長英)が現れ、すっかり忘れていた「手本引き」への思いを揺さぶられる。そんな頃、荒木が組同士の抗争の始末で刑務所に入ったことを知り差し入れをすると、荒木から再び店を始めるよう勧められた。荒木の思いに応えたい吾一は、開店準備を始める。
ところが、カスリコ仲間である金田の母親が重病であることを知り、開店準備のために貯めていた金を金田に渡してしまう。開店は先延ばしかと思われたとき、吾一の元に金融業者が現れ、破格の条件で金を貸すと言う。実は荒木の温情だったことを知り、いたく感心した吾一は、再び開店準備に取り掛かる。ようやく再起の道が見え、妻子にも報告の手紙を寄越すと、妻は涙を流して夫の無事を喜んだ。 ところが、そんな吾一に、再び思いもよらぬ事態が訪れてしまう…。 吾一は、どん底の己の人生に勝つため、最後の大勝負に挑む―。

 

 

2018年/ 日本 / 114分/ PG12
監督:高瀬将嗣
出演:石橋保/宅麻伸/中村育二/高橋かおり/高橋長英/他
配給:シネムーブ、太秦

 

上映場所 ホールソレイユ(4F)
上映期間 8/30(金)~9/12(木)
8/30(金)~9/5(木) ①18:55
9/6(金)~9/12(木) ①18:50

[margin_5t](C)2018 珠出版

© 2024 ソレイユ