『ジミー、野を駆ける伝説』【3/14~】

2015/01/27

1993年、祖国アイルランドから追放された、実在の人物ジミー。
多くの若者や民衆の心を掴んだ、この私利なき高潔な男性は、やがて伝説となった。

『麦の穂をゆらす風』でカンヌ国際映画祭のパルムドールを獲得し、スコッチウイスキーに一発逆転を賭けた落ちこぼれたちのコメディ『天使の分け前』が日本で大ヒットしたケン・ローチ監督。この世界に誇る名匠がアイルランドにおいて唯一、裁判も開かれずに国外追放となった人物の生き様に感銘を受け、至高のヒューマンドラマを完成させた。カンヌ映画祭で上映された本作がローチ監督の "引退作品"という噂が流れ、話題が話題を呼んだという。これまでも市井の人々を真摯な視点で捉え続けてきた監督の願いは、ジミーの精神が後世へと受け継がれること。村の若者に未来を託す、このラストには監督自身の希望が込められているに違いない。

《Jimmy's Hall(ジミーのホール)》とは、人々が集い、学び、踊る場所。しかし本作が最も語りたいことはホールの再建でも、ダンスでもない。野を駆け、野に生きた労働者でありながら、抜群のリーダーシップで民衆に支持された"名もなき英雄"の物語だ。実在したジミーは、誰もが知る歴史上の偉人ではなく、むしろそのプロフィールの細かな部分はほとんど知られていない。活動家の傍ら、芸術や娯楽をこよなく愛したジミーの人間性に加え、何よりもスクリーンに投影されているのは、ジミーの私利なき高潔な精神にほかならない。彼が説いた言葉の数々は、未来への希望にみちたメッセージとして眩い輝きを放ち、混迷する今を生きる私たちに深く刻まれ、すがすがしい感動を呼ぶことだろう。

ストーリー

1932年、国を分断した悲劇的な内戦が終結してから10年後のアイルランド。アメリカで暮らしていた元活動家のジミー・グラルトン(バリー・ウォード)が、10年ぶりに祖国の地を踏み、リートリム州の故郷に帰って来た。かつて地域のリーダーとして絶大な信頼を集めたジミーは、気心の知れた仲間たちに歓待され、昔の恋人ウーナ(シモーヌ・カービー)とも再会を果たす。ジミーの望みは、年老いた母親アリス(アイリーン・ヘンリー)の面倒を見ながら穏やかに生活すること。

しかし、村の若者たちの訴えに衝き動かされ、内にくすぶる情熱を再燃させたジミーはホールの再開を決意し、仲間たちも協力を申し出る。かつてジミー自身が建設したそのホールは、人々が芸術やスポーツを学びながら人生を語らい、歌とダンスに熱中したかけがえのない場所だったのだ。やがてジミーの決断が、図らずもそれを快く思わない勢力との諍いを招いてしまい……。
ジミー野を駆ける伝説大2014年/イギリス=アイルランド=フランス/109分/

監督:ケン・ローチ
出演:バリー・ウォード/シモーヌ・カービー/ジム・ノートン/アンドリュー・スコット
配給:ロングライド

上映場所 ホールソレイユ(4F)
上映期間 3/14(土)~4/3(金)
3/21(土)~3/27(金) ①10:00 ②14:25
3/28(土)~4/3(金) 時間未定

[margin_5t](C)Sixteen Jimmy Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Element Pictures, France 2 Cinema,Channel Four Television Corporation, the British Film Institute and Bord Scannan na hEireann/the Irish Film Board 2014

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