『デビルズ・ノット』【2/14~】

2014/12/16

悪魔は、だれか

1993年アーカンソー州ウエスト・メンフィスで起きた、少年3人が殺害された陰惨な事件の犯人として、3人のティーンエイジャーが逮捕された。殺された少年たちは手足を靴紐で縛られ、体には人間の所業とは思えない暴行の痕があり、戦慄した地元住人らは3人を激しく糾弾、全米のメディアが小さな田舎町に押し寄せた。しかし、この事件の背後には、いくつもの信じがたい不正や矛盾が渦巻いていた……。『スウィート ヒアアフター』などで知られる名匠アトム・エゴヤンの最新作『デビルズ・ノット』は、全米を震撼させた“ウエスト・メンフィス3事件”を映画化したサスペンス・ミステリーである。
報道記者として活躍してきたマラ・レヴェリットのベストセラー・ノンフィクションを原作とする本作は、警察による呆れ返るような証拠紛失や自白強要、事件と何ら関係のない“証人”たちの作り話、さらに保守的な地域特有のアウトサイダーへの偏見といった根深い問題をあぶり出しながら、事件の裏側では実際なにが起こっていたのか、悪魔より恐ろしい人間の闇をまざまざと浮き彫りにしていく。豪華実力派キャストが配された登場人物は、すべて実在&実名のキャラクター。『英国王のスピーチ』のコリン・ファース、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』のリース・ウィザースプーンというオスカー俳優ふたりが、事件の重要な関係者を演じるのに加え、デイン・デハーン、アレッサンドロ・ニヴォラ、ミレイユ・イーノス、といった実力派俳優たちが厚みのあるアンサンブルで映画に説得力を吹き込んだ。

【ストーリー】
1993年初夏、アメリカ、アーカンソー州ウエスト・メンフィスで児童の猟奇殺人が発生。鬱蒼と緑が生い茂る‘ロビン・フッドの森’の奥深く、“悪魔の巣窟”と呼ばれる沼の底から全裸姿で発見された少年たちは、手足を靴紐で縛られ、体には人間の所業とは思えない暴行の痕があった。戦慄した地元住人らはパニックに陥り、全米のメディアは小さな田舎町に押し寄せた。
犯行当日の夜、現場近くのレストランに現れた血まみれの黒人男性、児童らの顔見知りだったアイスクリーム売りの若者(デイン・デハーン)など、捜査線上に浮かび上がった不審人物は決め手を欠き、報道が過熱するなか警察は、16~18歳の若者3人を犯人と断定、逮捕した。
警察はあまりにも猟奇的な殺人の手口ゆえに、悪魔を崇拝する異端者が儀式の生贄にしたとし、それに当てはまる人物としていつも黒い服装をしてヘヴィメタルを愛聴し、オカルトへの興味を隠さない町の問題児ダミアンとその仲間たちの犯行だと見立てたのだ。悪魔崇拝が動機の未成年者の犯行説に激震が広がる中、事件の成り行きに不自然さを覚えた私立探偵のロン・ラックス(コリン・ファース)は独自で調査を開始する。
一方、被害者の母親のひとり、パム(リース・ウィザースプーン)は当初はダミアンら3人が真犯人と信じて疑わなかったが、裁判を通して浮上したさまざまな矛盾に動揺し、人知れず苦悩を深めていた。警察も司法も信じられなくなったパムは、事件を調べるラックスに、意外な人物の事件への関与をほのめかす衝撃的な告白をする……。

デビルズポスター
2013年/アメリカ/114分/PG12

監督:アトム・エゴヤン
出演:コリン・ファース/リース・ウィザースプーン/デイン・デハーン/他
配給:キノフィルムズ

上映場所 ソレイユ・2(地下)
上映期間 2/14(土)~3/6(金)終了予定
2/28(土)~3/6(金) ①19:20

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