『私の、息子』【8/30~】

2014/08/29

お前は私のすべて、守るためなら何だってする。

カリン・ペーター・ネッツアー監督が自らの体験を基に描いた、子離れできない母親と自立できない息子の葛藤と愛情の物語は、観るものすべての心をとらえ、ベルリンの客席は熱い喝采と割れんばかりの拍手に包まれました。親であり、子である誰もが通ってきた、ひとりの人間としての“自立への道。ふたりを待ち受ける、感動のラストに、涙せずにいられないー。

愛する息子を守ろうと、必死に奔走する母親。子を思う深い愛情が、逆にわが子の自由を奪っているとしたら…? 映画の原題「チャイルズ・ポーズ」(胎児の体勢)が示すのは、子どもが母親の胎内で丸まっている姿勢。親が子を育む愛情が、実は子どもを窒息させていること、親が子供の人格形成に傷跡をあたえているという、現代社会の抱える普遍的なテーマに果敢に取り組み、国境を越えた共感と賞賛を巻き起こしました。一方、視点を変えると、現代ルーマニアの特権階級の現実や、市民社会レベルに横行する権力の行使、腐敗の横行といったルーマニアの社会(保障)制度の実態が透かし見えてきます。
はたして母は息子を「胎児の体勢」から解き放ち、自由にすることができるのか…?
愛するがゆえの母の決断、息子の決断とは…?

数々の世界遺産に囲まれ「バラの国」「ワインの国」としても知られるルーマニアは、近年世界的評価を受ける映画監督を続々と生み出し、「映画新興国」として熱い注目を浴びています。 “ルーマニア・ニューウェーブ”と呼ばれる彼らの若き旗手であるカリン・ペーター・ネッツアーは、カンヌでパルムドールを受賞したクリスティアン・ムンジウに続き、世界三大映画祭の最高賞を母国にもたらす快挙を成し遂げました。そして、『私の、息子』はここ20年で、ルーマニア映画としては国内最高の大ヒット作となりました。

【ストーリー】
ルーマニアの首都ブカレストに住むセレブリティ、コルネリアの悩みは、30歳を過ぎても自立しない一人息子バルブのこと。社交界の名士が集うコルネリアの誕生パーティにも顔を出さず、会えば悪態をつくばかりのバルブの態度や、彼の恋人でシングルマザーのカルメンへの不満など、コルネリアの愚痴は溜まるばかり。家政婦のクララに息子の家を探らせては、あれこれ世話を焼いてみるが、そうした行動も息子の逆鱗に触れてしまう。

そんなある日、思いがけない知らせが入る。バルブが交通事故を起こし、子供を死なせてしまったのだ。警察署に急行したコルネリアは、憔悴しきったバルブを目にする。コルネリアはバルブに不利な証言をさせまいと、取り調べの場を仕切り、陳述書を無理やり変えて担当警官の怒りを買うが、警察上部にコネのある彼女に地元警察は逆らうことが出来ない。

息子を救いたい一心で、あらゆる手段に訴えるコルネリア。弱みにつけこんでプライベートの頼み事をしてくる警官や、金次第で態度を変える証人とのハードな交渉をこなす彼女に向かい、バルブは自分は関知しないと言い放つ。見かねた父親が口を出すが、またしてもバルブの怒りが爆発し、家族の協力を拒絶して立ち去ってしまう。

バルブを救うためには、被害者家族が起訴を取り下げるしか道はない。コルネリアは相手側に謝罪するよう、必死の説得を試みるが、バルブは一切を拒否し、自分の殻に閉じこもる。このまま刑務所行きが確定すれば、バルブの将来は絶たれてしまう。なすすべを失くしたコルネリアに、バルブの恋人カルメンは、ある意外な、母の知らない息子の素顔を告白する…。
私の、息子ポスター
2013年/ルーマニア/112分

監督:カリン・ペーター・ネッツアー
出演:ルミニツァ・ゲオルギウ/ボグダン・ドゥミトラケ/イリンカ・ゴヤ/他
配給:マジックアワー

上映場所 ソレイユ・2(地下)
上映期間 8/30(土)~9/12(金)終了
8/30(土)~9/5(金) ①9:30 ②16:40
9/6(土)~9/12(金) ①9:00

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