1716年 ヴェネツィア。
音楽に情熱を捧げ、希望を切り開いていく師と愛弟子の物語
ヴァイオリン協奏曲「四季」の作曲家として広く知られるアントニオ・ヴィヴァルディは、バロック時代を代表する作曲家の一人でありながら、その作品は200年にわたり忘れ去られていました。
20世紀初頭、偶然発見された大量の自筆譜によって、ヴィヴァルディへの関心は高まり、その才能は世界中で再評価されたのです。
幼少期から名手として有名だった父からヴァイオリンを学んでいたヴィヴァルディは25歳で司祭になるが、ソナタ集などを出版し、音楽家としての道を歩んでいました。
同年、ピエタ院のヴァイオリン教師に任命され、少女たちに音楽を教え始めると、その演奏は輝き、世界最高のオーケストラと賞され、ヨーロッパ各地の貴族や知識人たちを魅了していったのです。
そして、ピエタ院で奉職中、彼の代表作となる「四季」やオラトリオ「勝利のユディータ」が誕生しました。
本作はピエタ院で孤独に生きる一人の少女チェチリアが、ヴィヴァルディの指導のもと、ヴァイオリンの才能を開花させ成長していく姿と、己の才能が評価されることを渇望する音楽家ヴィヴァルディの内なる野望を描く、音楽に情熱を捧げ、未来の希望を切り開こうとする師と愛弟子の物語です。
監督は、オペラ演出家として世界中に名を馳せ、ローレンス・オリヴィエ賞受賞歴を持つダミアーノ・ミキエレット。
彼が大切にする二つのテーマ---音楽と第二の故郷・ヴェネツィア---を題材にするティツィアーノ・スカルパの小説「ヴィヴァルディと私」を原作に、ヴィヴァルディがピエタ院で才能を開花させた少女の知られざる物語を映画化しました。
撮影はヴェネツィアとローマで行われ、現存していないピエタ院の内部シーンはローマ北東部のヴィコヴァーロにある教会で、また、デンマーク国王への室内コンサートは貴族の宮殿として建てられた豪華な屋敷で撮影が行われ、18世紀のヴェネツィアに存在した世界を見事に描き出しています。
チェチリアを演じるのはTVシリーズ「The Art of Joy」で主役を演じ、イタリアのアカデミー賞と称されるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最優秀主演女優賞と新人賞を受賞した、イタリア映画界で最も活躍が期待される女優、テクラ・インソリア。教え子の才能に嫉妬するも、彼女を応援するアントニオ・ヴィヴァルディには、TVドラマ「ヤング・モンタルバーノ」シリーズで国民的人気を博し、映画のみならず舞台でも活躍する実力派俳優、ミケーレ・リオンディーノ。
母親を待ち焦がれる孤児の少女・チェチリアが、師であるヴィヴァルディが一目置くほどの技術と表現を手に入れることができるようになった師弟愛あふれる映画が、この初夏、日本で公開となります。
STORY
1716年、ヴェネツィアのピエタ院。赤ちゃんポストに置き去りにされたチェチリアは、母の姿も愛情も知らずにこの院で育ち、毎晩こっそりベッドから抜け出してはろうそくの灯りで、宛名のない母への手紙を綴っていた。院から出て外の世界で暮らすには、母親が迎えに来るか、貴族に見いだされ結婚するかしかなかった。結婚も貴族から院への寄付が前提で、持ちつもたれつの関係であった。
そんな中、ピエタ院にアントニオ・ヴィヴァルディがヴァイオリン教師として赴任すると、卓越したヴァイオリンの技術を持つチェチリアを見出し、第一ヴァイオリンのリーダーに任命する。ヴィヴァルディからの厳しい練習に耐え、ヴァイオリンの腕があがっていくチェチリア。いつしか二人は心を通わせるようになる。
そんな折、ピエタ院が決めたチェチリアの結婚相手である将校がトルコとの戦争から戻り、結婚が迫ったある日、事件が起こる……。

