戦後、生と死の戦いを続ける元・女性兵士たちの物語
1945年、終戦直後のレニングラード。第二次世界大戦の独ソ戦により、街は荒廃し、建物は取り壊され、市民は心身ともにボロボロになっていた。史上最悪の包囲戦が終わったものの、残された残骸の中で生と死の戦いは続いていた。多くの傷病軍人が収容された病院で働く看護師のイーヤは、PTSDを抱えながら働き、パーシュカという子供を育てていた。しかし、後遺症の発作のせいでその子供を失ってしまった。そこに子供の本当の母であり、戦友のマーシャが戦地から帰還する。彼女もまた後遺症や戦傷を抱えながらも、二人の若き女性イーヤとマーシャは、廃墟の中で自分たちの生活を再建するための闘いに意味と希望を見いだすが...。
戦争を知らない世代が、戦争の恐ろしさを伝える---。
巨匠アレクサンドル・ソクーロフの下に学んだ、30歳を過ぎたばかりの新鋭カンテミール・バラーゴフ監督は、ノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチのデビュー作『戦争は女の顔をしていない』に衝撃を受け、この証言集を原案に、戦後の女性の運命をテーマに本作を完成させた。プロデューサーは、『ラブレス』や『裁かれるは善人のみ』をはじめ、ハリウッドでも実績のあるウクライナ出身のアレクサンドル・ロドニャンスキー。そして、主人公の女性二人は、新人のヴィクトリア・ミロシニチェンコとヴァシリサ・ペレリギナが見事に複雑な心理状態を演じきった。終戦から77年。これは戦争を知らないスタッフ、キャストらが今も起こっている戦争の恐ろしさを伝える作品である。