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『ヨナグニ 旅立ちの島』【9/2~】

2022/06/12

イタリア出身で欧州に拠点を置くクリエイターが、
なぜ与那国に注目したのか?

イタリア出身の映像作家アヌシュ・ハムゼヒアンと写真家ヴィットーリオ・モルタロッティのコンビが与那国島に初めて訪れたのは2018年。これまでにクラゲの研究者である日本人男性を取材した『Monsieur Kubota』やアメリカの原爆実験とオッペンハイマー博士の記録を追いかけた『Most Were Silent』など、映像や写真、インスタレーションなど特定の媒体にとらわれない形で作品を制作してきた二人は、与那国の言葉"どぅなんむぬい(与那国語)"が日本で最も消滅の危機に瀕している言語の一つであること知る。最初の滞在時に“少数言語の消滅”というワードの裏側には、一つの世界が消失することに二人は気付く。その言葉を話す人が少なくなり、その言葉で表されていたはずの風景、文化、関係性もまた変化せざるをえない局面を迎えていることを最初の滞在時に感じ取った。二人は消失の危機にあるコミュニティの痕跡を3年間にわたり記録していった。島の風土や人々の暮らしを写真や映像、音声で記録し、国際的に有名な社会言語学者であるパトリック・ハインリッヒ教授とのコラボレーションのおかげで、ドゥナン語や島の象形文字であるカイダ文字についてもテキストとして記録した。

そうした中で映画のカメラを向けられたのは、“日本語”を喋る14歳の少年少女たち。我々が頭の中で描いてきな日本の国境的な与那国像とは打って変わり、島の日常をありのまま描き出す。それはかつて、そこにあったもの、消失した世界や言語をありありと私たちに見せてくれる。

あらすじ

沖縄県与那国町、この島には高校がない。若者たちは中学卒業とともに一度は島を離れることになる。別れと再会を予感しながら、学校生活や豊かな自然で戯れる放課後、思春期の本音が漏れる会話を通して多感な十代の日々が映し出される。そして、失われつつある島の言葉「どぅなん」や伝統文化がゆっくりと若い世代へと受け継がれる様子が描かれる。緩やかで郷愁溢れる国境の島の記録。

 

2021年/フランス/74分
監督:アヌシュ・ハムゼヒアン/ビットーリオ・モルタロッティ
原題:Yonaguni
配給:ムーリンプロダクション

上映場所 ソレイユ・2(地下)
上映期間 9/2(金)~9/8(木)
9/2(金)~9/8(木) ①9:40

 

 

 

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