偶然―― それは、人生を大きく静かに揺り動かす
「ハッピーアワー」「寝ても覚めても」「ドライブ・マイ・カー」など珠玉の作品で評価の高い濱口竜介監督初の短編オムニバス。2021年・第71回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品され、銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した。
親友が「いま気になっている」と話題にした男が、2年前に別れた元カレだったと気づく「魔法(よりもっと不確か)」。50代にして芥川賞を受賞した大学教授に落第させられた男子学生が逆恨みから彼を陥れようと、女子学生を彼の研究室を訪ねさせる「扉は開けたままで」。仙台で20年ぶりに再会した2人の女性が、高校時代の思い出話に花を咲かせながら、現在の置かれた環境の違いから会話が次第にすれ違っていく「もう一度」。
それぞれ「偶然」と「想像」という共通のテーマを持ちながら、異なる3編の物語から構成される。
ベルリン映画祭授賞式で、「一番の見どころはと問われたら“役者の皆さんの演技”だ」と答えた濱口監督。連続テレビ小説「エール」や「コントが始まる」など話題作に出演し圧倒的な存在感を放つ古川琴音をはじめ、中島歩、森郁月、甲斐翔真らフレッシュな顔ぶれが濱口作品に初出演。そして濱口組出演経験のある玄理、渋川清彦、占部房子、河井青葉ら個性豊かな俳優陣も好演している。