ごく平凡な一市民の潜入スパイ活動が、
謎に満ちた北朝鮮の闇取引の実態を暴き出す!
“全世界騒然”の衝撃ドキュメンタリー
この世には奇想天外なフィクションよりも、はるかに不思議な出来事がある。「事実は小説より奇なり」はまさにそれを表すことわざだが、デンマークのマッツ・ブリュガー監督が手がけたセンセーショナルなドキュメンタリー映画『THE MOLE(ザ・モール)』を観た者は、誰もが手に汗握って息をのみ、こう呟かずにいられないだろう。「事実はスパイ映画より奇なり」と。
本作が追求したテーマは、長らく国際社会が疑惑の目を向けてきた北朝鮮による海外への武器密輸問題だ。国連から厳しい経済制裁を受けている北朝鮮が、その締めつけをかいくぐって国家ぐるみの闇取引を行っている生々しい現場を、隠しカメラと盗聴用マイクで記録することに成功した。しかも命の危険を顧みずに潜入スパイとなり、前代未聞の衝撃映像の撮影を成し遂げた人物は、情報機関の工作員でもスゴ腕の記者でもない。プロフェッショナルな諜報の世界とは一切無縁の元料理人、すなわち素人の一般市民なのだ!
すべての始まりは、ブリュガー監督のもとに届いた一通のメールだった。その送り主であるコペンハーゲン郊外在住の元料理人ウルリク・ラーセンは、謎に満ちた独裁国家、北朝鮮の真実を暴くためのドキュメンタリーを作ってほしいという。ブリュガーは返答を濁したが、自らの意思でコペンハーゲンの北朝鮮友好協会に潜入したウルリクはたちまち信頼を得て、協会内でスピード出世を果たしていった。そして北朝鮮のピョンヤンでKFA(朝鮮親善協会)会長のアレハンドロという怪しげなスペイン人と出会い、違法の投資ビジネスに深く関わっていくことに。ウルリクから報告を受けたブリュガーは、元フランス軍外人部隊の“ジム”という男に偽の石油王ミスター・ジェームズを演じさせ、陰ながらウルリクの潜入調査を指揮していく。やがて世界各国でアレハンドロ、北朝鮮の要人や武器商人らとの商談を重ねたウルリクとジェームズは、その巨大な闇取引の全貌を隠しカメラに収めていくのだった……。
STORY
事の始まりは、マッツ・ブリュガー監督のもとに届いた一通のメッセージだった。メッセージの送り主は、デンマークのコペンハーゲン郊外で妻子と暮らす元料理人のウルリク・ラーセン。
謎のベールに覆われた北朝鮮に並々ならぬ興味を抱く彼は、この独裁国家の実情を探る“潜入調査”のドキュメンタリー映画を作ってほしいという。まずウルリクが目をつけたのは、コペンハーゲンにある北朝鮮友好協会という団体だった。