この気持ちは恋か、それとも友情か――
予期せぬ感情に揺れる、幼馴染のマティアスとマキシム。
圧倒的なカリスマ性と才能を携え映画界を駆け抜けてきたグザヴィエ・ドラン。30代を迎えた今、デビューから一貫して描いてきた”母と子”というテーマから一新、痛いまでの純愛を真正面から描き、自らの手で新たな章の幕を上げた。「これは純粋なロマンス。ずっとやりたかったラブストーリーなんだ。」と語るように本作では誰もが知っている恋する感情を映し出す。恋と友情の狭間で揺れる二人の主人公、彼らを見守る仲間たち―― 全編に響き渡るピアノの旋律と柔らかな色彩と光で織りなす眩い映像が、登場人物たちの言葉にできない気持ちを物語っている。
ドランが『君の名前で僕を呼んで』に感銘を受け描いた、愛の傑作。
1980年代のイタリアを舞台に二人の青年のロマンスを描いた映画『君の名前で僕を呼んで』を観た後「しばらく動けないほどに感動した。そして僕自身の20代の頃を思い返した。」と語ったドランは、この名作に応えるように現代を生きる二人の青年マティアスとマキシムの等身大の物語を誕生させた。また、地元カナダ・ケベックを舞台に6年ぶりとなる自作への出演を果たし、“仲間役”には本当の友人たちを登場させるなど制作にあたり特別なこだわりを見せた。突如芽生えた感情、溢れ出す愛おしさ、触れたい衝動、追いかける眼差し、誰かを好きなることの切なさと歓びが凝縮された新たな愛の傑作が映画史に刻まれる。
たった一度の戯れのキス。そして溢れ出す、君への想い。
30歳のマティアス(ガブリエル・ダルメイダ・フレイタス)とマキシム(グザヴィエ・ドラン)は幼馴染。その日も一緒に仲間のパーティへ向かうが、そこで彼らを待ち受けていたのは友達の妹からの、あるお願い。彼女の撮る短編映画で男性同士のキスシーンを演じることになった二人だが、その偶然のキスをきっかけに秘めていた互いへの気持ちに気付き始める。美しい婚約者のいるマティアスは、思いもよらぬ相手へ芽生えた感情と衝動に戸惑いを隠せない。一方、マキシムはこれまでの友情が壊れてしまうことを恐れ、想いを告げずにオーストラリアへと旅立つ準備をしていた。迫る別れの日を目前に、二人は抑えることのできない本当の想いを確かめようとするのだがー。