ハリウッドの天才子役が唯一演じられないもの、それは現実の自分
父とのトラウマを乗り越え、光さす新たな世界へと踏み出す物語
映画を愛する者の聖地サンダンス映画祭で審査員特別賞に輝き、トロント国際映画祭でも称賛され、その後もヨーロッパからインドやアジアまで、世界各国の映画祭に招かれ34ノミネート9受賞を果たし、辛口映画批評サイトRotten tomatoesでも94%(2020.5.20現在)を弾き出した、本年度最高の注目作がいよいよ日本にも登場する。
子供時代のオーティスには、「衝撃的な才能」「次世代最高のスター」とメディアが絶賛の言葉を競い合うノア・ジュプ。『ワンダー 君は太陽』『クワイエット・プレイス』『フォードvsフェラーリ』と異なるジャンルの傑作でキャリアを積み、出演作『サバービコン 仮面を被った街』の監督を務めたジョージ・クルーニーに「最高の子役だ」と言わしめた逸材だ。家族や周りの大人たちとの葛藤を乗り越えようと、背伸びして頑張る姿を演じ、愛らしく切なく健気な瞳で観る者の胸を締め付ける。
10年後のオーティスには、やはり若くしてその演技力と存在感が群を抜き、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でアカデミー賞®にノミネートされたルーカス・ヘッジズ。そして、父ジェームズには、映画界の“異端児”シャイア・ラブーフ。
どんな役にでもなれる天才子役が唯一演じられないもの、それは〈現実の自分〉だった。それでも懸命にトラウマを乗り越えて、父からもらった〈痛み〉だけは抱きしめたまま、光さす方へと歩き出す物語。
大人のふりをしていた、12才の自分に会いに行く---
若くしてハリウッドのトップスターに躍り出たオーティス(ルーカス・ヘッジズ)は、撮影に忙殺されるストレスの多い日々の中で、アルコールに溺れるようになっていた。2005年のある夜、泥酔して車を運転し事故を起こしたオーティスは、更生施設へ送られる。そこでPTSDの兆候があると診断され、「まさか」と驚くオーティス。原因を突き止めるために、今までの思い出をノートに書くようにと言われたオーティスは、過去の記憶を辿り始める。真っ先に思い出すのは、父のこと。
10年前の1995年、子役として活躍する12歳のオーティスは(ノア・ジュプ)いつも突然感情を爆発させる前科者で無職の“ステージパパ“ジェームズに、振り回される日々を送っていた。そんなオーティスを心配してくれる保護観察員、安らぎを与えてくれる隣人の少女、撮影現場の大人たちとの交流の中で成長していくオーティスは、新たな世界へと踏み出すのだが──。