『ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ』【7/12~】

壁を飾るために描くのではない
絵は盾にも矛にもなる、戦うための手段だ。

ナチス・ドイツがヨーロッパ各地で略奪した芸術品の総数は約60万点にのぼり、戦後70年以上経った今でも10万点が行方不明と言われる。なぜ、ナチス・ドイツは、いやヒトラーは、美術品略奪に執着したのか?彼らは、ピカソ、ゴッホ、ゴーギャン、シャガール、クレーらの傑作に「退廃芸術」の烙印を押しそれらを貶め、一方で、純粋なアーリア人による写実的で古典主義的な作品を擁護。同時に、故郷リンツに“総統美術館”設立の野望を抱き、右腕的存在のゲーリング国家元帥と張り合うかのうように、ユダヤ人富裕層や、かのルーブル美術館からも問答無用で憧れの名品や価値ある美術品の略奪を繰り返した。権力は芸術をも支配できると妄信するナチスが行った歴史上最悪の美術品強奪と破壊、そしてヒトラーの秘宝たちが辿った知られざる真実とは――?

ナチス・ドイツによる美術史上最悪の略奪と相続人たちの粘り強い戦いを案内するのは、『グレート・ビューティー/追憶のローマ』(14)や『修道士は沈黙する』(18)など、イタリア映画界が誇る名優トニ・セルヴィッロ。監督は新鋭ドキュメンタリー作家のクラウディオ・ポリ。ヴェネチア・ビエンナーレやイタリア国立21世紀美術館などのドキュメンタリーを手掛けたスペシャリスト。

世界各地で自己顕示欲の強い指導者が誕生し、民族対立や経済格差が煽られる現代社会。都合よく大衆を操るために芸術が政治に利用される可能性は否定できない。政治は芸術を支配できると妄信するヒトラーと向き合ったピカソの声に耳を傾けたい。「芸術家とは何だ?」

ART EXHIBITIONS

ヒトラー自らが企画し、1937年から44年まで毎年開催されたナチスのお墨付き展覧会で、ヒトラーとゲーリングが占領国の美術遺産を巡って競い合うことになる古典美術への執着の始まりになったといわれる。
36年11月に作品公募が発表され、翌年1月にヒトラーのお気に入りの画家で、帝国造形芸術院総裁のアドルフ・ツィーグラ−がトップの審査委員会が設立された。しかし、ヒトラーやゲーリングら一言居士の意向と美術専門家で構成された審査委員会の意見が一致せず、審査は難航。最終的にヒトラーが直接選考した約900点の絵画と彫刻がゆったりとした空間に展示された。
「大ドイツ芸術展」で好まれたテーマは農村の生活や田舎の風景、そして家族と母性だった。写実的でわかりやすい古風な作風が好まれ、農村の風景画と4割で、次に裸体画を含む人物画が多いのが特徴。男性像は贅肉がなく筋骨隆々の理想的な肉体が賞賛され、女性の裸婦像は母親を刺激し、「健康で美しくい金髪の子供たちをたくさん産んで総統に捧げよ」のメッセージが込められていた。

 

2018年/イタリア・フランス・ドイツ合作 /97分
監督:クラウディオ・ポリ
原題:Hitler contro Picasso e gli altri
出演:トニ・セルビッロ
配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム

 

上映場所 ソレイユ・2(地下)
上映期間 7/12(金)~7/25(木)
7/12(金)~7/18(木) 時間未定
7/19(金)~7/25(木) 時間未定

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