『否定と肯定』【2/17~】

2017/12/13

ユダヤ人歴史学者とホロコースト否定論者の対決を映画化!

舞台は2000年、ロンドンの法定。
ユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタットは、イギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィングが訴える大量虐殺はなかったとする“ホロコースト否定論”を看過できず、著書で真っ向から対立する主張を繰り広げていた。
しかし、アーヴィングは、名誉毀損でリップシュタットを提訴、異例の法廷対決が始まった。
この裁判は、開始時から欧米でセンセーショナルに報道され、判決の行方は、ユダヤ人だけでなく、世界の知識層や学者などからも注目された。
このドラマチックな裁判の映画化にあたって、まず脚本家のデヴィッド・ヘアに白羽の矢が立った。
彼はナチスの戦争犯罪裁判を題材にした映画『愛を読むひと』(08)でアカデミー賞®脚色賞にノミネートされている。
脚本執筆にあたり、膨大な裁判資料をすべて読みこみ、事実を描くという信念のもと、裁判の再現に真摯に取り組んだ。
監督にはイギリス人のミック・ジャクソンが選ばれた。
ホイットニー・ヒューストンとケヴィン・コスナーが共演した往年の大ヒット映画『ボディガード』(92)の監督であるが、最近はドキュメンタリーを数多く手掛けている。
本作では、弁護団のやり取りや法廷での審理シーンなどもリアリティーある場面に仕上がっている。
ユダヤ人歴史学者リップシュタットは、アカデミー賞®受賞者であるレイチェル・ワイズが熱演。自身のルーツにユダヤ人の血が流れる彼女は撮影前にリップシュタットに何度も会い、リップシュタットの思考や信念に留まらず、彼女の特性や性格まで把握し、演技に臨んだ。対決する歴史家にはティモシー・スポール、年長弁護士にトム・ウィルキンソンという老練したイギリスの名優が共演し、作品に重厚さを与えている。
“ポスト・トゥルース”や“フェイクニュース”といった、捻じ曲げられた理論であっても、それを声高に主張すれば世間に認められるという現代の風潮にも警鐘を鳴らし、普遍的なテーマを投げかけている。
歴史上、争いのないと思われる真実であっても、時として否定論者は現われることがある。ホロコーストという最大にして最悪の世界史を題材とした本作は、歴史の真実を伝え続けなければならない我々一人ひとりに対する警告でもある。

ホロコースト、信念の法廷が今始まった。

1994年、アメリカのジョージア州アトランタにあるエモリー大学でユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)の講演が行われていた。
彼女は自著「ホロコーストの真実」でイギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィングが訴える大量虐殺はなかったとする“ホロコースト否定論”の主張を看過できず、真っ向から否定していた。
アーヴィングはその講演に突如乗り込み彼女を攻め立て、その後名誉毀損で提訴という行動に出る。
異例の法廷対決を行うことになり、訴えられた側に立証責任がある英国の司法制度の中でリップシュタットは〝ホロコースト否定論“を崩す必要があった。
彼女のために、英国人による大弁護団が組織され、アウシュビッツの現地調査に繰り出すなど、歴史の真実の追求が始まった。
そして2000年1月、多くのマスコミが注目する中、王立裁判所で裁判が始まる。このかつてない歴史的裁判の行方は…

2016年/イギリス・アメリカ合作/ 110分
原題: Denial
監督:ミック・ジャクソン
出演:レイチェル・ワイズ/トム・ウィルキンソン/ティモシー・スポール/アンドリュー・スコット/ジャック・ロウデン他
配給: ツイン

上映場所 ソレイユ2(地下)
上映期間 2/17(土)~3/2(金)
2/17(土)~2/23(金) ①9:40 ②17:10
2/24(土)~3/2(金) ①10:00 ②16:55

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