『ヒトラーの忘れもの』【3/11~】

2017/01/19

第二次大戦後のデンマーク。ナチが埋めた200万個の地雷を撤去したのは、
異国に置き去られたドイツの少年兵だった―――

第二次大戦後のデンマークで、ナチが埋めた200万個以上の地雷を撤去したのは、大半が15歳から18歳のドイツ人少年兵だった。異国に置き去られた彼らは、母国の罪の償いを強いられるように危険な作業を命じられ、半数近くが死亡、もしくは重傷を負ったという。

デンマーク国内でも知られることのなかった残酷な史実を題材にした本作は、戦争の矛盾に満ちた現実を浮き彫りにし、観る者に問いかけてくる。

脚本・監督はデンマークの新鋭マーチン・サントフリート。一触即発の地雷除去シーンを生々しいスリルをみなぎらせて描く一方で、敵同士であるデンマーク人軍曹と少年たちの間に芽生える疑似親子のような絆を感動的に映し出す。数々のコントラストが強烈な印象を残す本作は、デンマークのアカデミー賞にあたるロバート賞で作品賞や監督賞を含む6部門を独占。世界各国の国際映画祭でも高く評価され、第28回東京国際映画祭ではラスムスン役のローラン・ムラとセバスチャン役のルイス・ホフマンが揃って最優秀男優賞を受賞した。

【ストーリー】

1945年5月、ナチス・ドイツによる5年間の占領から解放されたデンマーク。ドイツ軍が海岸線に埋めた無数の地雷を除去するため、捕虜のドイツ兵たちが駆り出された。セバスチャン、双子のヴェルナーとエルンストらを含む11名は、地雷を扱った経験がほとんどない。彼らを監督するデンマーク軍のラスムスン軍曹は、全員があどけない少年であることに驚くが、初対面の彼らに容赦ない暴力と罵声を浴びせる。

広大な浜辺に這いつくばりながら地雷を見つけ、信管を抜き取る作業は死と背中合わせだった。少年たちは祖国に帰る日を夢見て苛酷な任務に取り組むが、飢えや体調不良に苦しみ、地雷の暴発によってひとりまたひとりと命を落としていく。そんな様子を見て、ナチを激しく憎んでいたラスムスンも、彼らにその罪を償わせることに疑問を抱くようになる。とりわけ純粋な心を持つセバスチャンと打ち解け、二人の間には信頼関係や絆が芽生え始めていた。

やがてラスムスンは、残された任務をやり遂げて帰郷を願う少年たちの切なる思いを叶えてやろうと胸に誓うようになる。しかしその先には思いがけない新たな苦難が待ち受け、ラスムスンは重大な決断を迫られるのだった……。

 

a44f35b6158572842015年/ デンマーク・ドイツ合作 /101分/
原題:Under sandet
監督:マーチン・ピータ・サンフリト
出演:ローラン・モラー/ミケル・ボー・フォルスガード/ルイス・ホフマン/エーミール・ベルトン/オスカー・ベルトン 他
配給:キノフィルムズ

上映場所 ソレイユ2(地下)
上映期間 3/11(土)~3/24(金)
3/11(土) ①11:00 ②18:20
3/12(日)~3/17(金) ①11:00 ②18:05
3/18(土)~3/24(金) ①11:00 ②17:45

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