『希望のかなた』【3/31~】

誰かを受け入れるとき、そこには希望が生まれる。

内戦が激化する故郷シリアを逃れた青年カーリドは、生き別れた妹を探して、偶然にも北欧フィンランドの首都ヘルシンキに流れつく。
空爆で全てを失くした今、彼の唯一の望みは妹を見つけだすこと。
ヨーロッパを悩ます難民危機のあおりか、この街でも差別や暴力にさらされるカーリドだったが、レストランオーナーのヴィクストロムは彼に救いの手をさしのべ、自身のレストランへカーリドを雇い入れる。
そんなヴィクストロムもまた、行きづまった過去を捨て、人生をやり直そうとしていた。
それぞれの未来を探す2人はやがて“家族”となり、彼らの人生には希望の光がさし始めるが…。

 

社会への深い洞察に満ちた、アキ・カウリスマキの新境地。
無償のやさしさと辛辣なユーモアが、世界を覆う不寛容を打ち砕く。

2017年のベルリン国際映画祭で観る者すべての胸に深い余韻を残し、批評家のみならず観客からも圧倒的支持を受けたアキ・カウリスマキ監督『希望のかなた』。
同映画祭で見事、監督賞を受賞したカウリスマキは、前作『ル・アーヴルの靴みがき』で“港町3部作”と名付けたシリーズ名を自ら“難民3部作”に変えて、今や全世界で火急の課題となった難民問題に再び向かいあいました。
シリア難民の主人公カーリドは、“いい人々のいい国”だと聞いていたフィンランドで、無情にも難民申請を却下され、ネオナチからのいわれのない暴力にさらされます。
これは、やむなく故郷を離れた難民たちが、希望を求めた土地で実際に直面する現実です。
そんな酷薄な現実にさらされるカーリドに、ヴィクストロムをはじめとする市井の人々が救いの手をさしのべます。
カウリスマキ映画ではおなじみの、社会の片隅でつつましやかに生きる、少しばかり孤独をかかえた人々のちいさな善意が、カーリドの願いを叶え、魂を救うのです。
『希望のかなた』は今、世界が忘れかけている“当たり前”の人間性を、辛辣なユーモアと無償のやさしさをもって描いたヒューマンドラマ。
カウリスマキからのメッセージは、不寛容がはびこる世界に生きる私たちの、心のより所となることでしょう。

主人公カーリドを演じるのはシリア人俳優シェルワン・ハジ。
ヴィクストロム役のサカリ・クオスマネンをはじめとする個性的なカウリスマキ組の常連たち、そしてカウリスマキの愛犬ヴァルプとのアンサンブルを見事にこなし、映画初主演ながらダブリン国際映画祭で最優秀男優賞を受賞しました。
また、物語に絶妙にシンクロするフィンランドのベテランミュージシャンによる演奏シーンの数々や、痛烈な“わさびネタ”も必見です。

 2017年/ フィンランド/ 98分
原題: Toivon tuolla puolen
監督:アキ・カウリスマキ
出演:シェルワン・ハジ/サカリ・クオスマネン/イルッカ・コイブラ/ヤンネ・ヒューティライネン/ヌップ・コイブ 他
配給: ユーロスペース

 

上映場所 ソレイユ・2(地下)
上映期間 3/31(土)~4/13(金)
3/31(土)~4/6(金) 時間未定
4/7(土)~4/13(金) 時間未定

(C)SPUTNIC OY, 2017