『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』【5/6~】

2017/03/22


本年度アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ノミネート!!
第66回ベルリン国際映画祭金熊賞〈グランプリ〉

難民のいる世界を静かに見据える、衝撃のドキュメンタリー

ランペデゥーサ島、アフリカ大陸に最も近いイタリア最南端の小さな島

12歳の少年サムエレは、友だちと手作りのパチンコで遊び、島の人々はどこにでもある毎日を生きている。しかし、この島には彼が知らないもうひとつの顔がある。アフリカや中東から命がけで地中海を渡り、ヨーロッパを目指す多くの難民・移民の玄関口なのだ。島の人口約5500人に対して、今は年間5万人を超える難民・移民がランペドゥーサ島へやってきている。島には巨大な無線施設が建ち、港には数多くの救助艇が停泊している。ひとたび難民たちが乗った船から救難要請の連絡が入ると、無線が飛び交い、ヘリコプターが飛び立つ。夜の海を照らすサーチライトが難民たちを探している。そんな緊迫した様子とは対照的に、島の日常は流れていく。家々のラジオからは音楽が聞こえ、漁師は海へ出かけ、雷の日には老女は家で針に刺しゅう糸をとおす。同じ島にありながら、島の生活と難民たちの悲劇は決して交わることがない。両者を結ぶのは、島でたったひとりの医師のみ。島の人たちを診察する傍ら、島にやってきた多くの難民たちの検診や死にも立ち会う。彼は言う「こうした人々を救うのは、すべての人間の務めだ。」少年サムエレにも変化が起こり、左目の弱視が見つかる。右目を塞いで左目の働きを上げていくために矯正メガネをつけることになる。それはまるで、今まで見えていなかったもうひとつの目で、未知の世界を見るかのように──。

<ベルリン、ヴェネチアをドキュメンタリー映画で
初めて制した名匠ジャンフランコ・ロージが、
美しく詩情溢れる映像と共に描く“静かな衝撃”。
世界を席巻する「今見るべき映画」!

前作『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』で2013年度ヴェネチア国際映画祭金獅子賞〈最グランプリ高賞〉を受賞したジャンフランコ・ロージ監督が、次にカメラを向けたのはひとつの島だった。難民危機の最前線、ランペドゥーサ島。ある国際映画祭で上映する短編を撮影するために島に入ったロージ監督は、ニュースでは描かれない複雑な世界を目の当たりにし、たった数分の映画に収めることは不可能だと悟る。そして、島に暮らすたったひとりの医師から聞いた難民救援の現状や、少年サムエレとの出会いをきっかけに、『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』の制作を決意。島へ移り住み、ランペドゥーサの人々と時を共有しながらゆっくりカメラを回し、島の“真の姿”を描き出した。自然の中で無邪気に遊ぶ少年サムエレの笑顔、過酷な海の旅を経て島にやって来た難民の涙。小さな島の中には死があり、そして、生がある。美しく詩情溢れる映像と共に描かれるそれぞれのストーリーがドラマチックに心を揺さぶる、静かな衝撃作。

本作は、2016年度のベルリン国際映画祭で金熊賞〈最グランプリ高賞〉を獲得。ロージ監督は、二作連続で世界三大映画祭の最高賞を受賞しただけでなく、ベルリン、ヴェネチアと、ドキュメンタリー映画で初の最高賞を受賞するという快挙を成し遂げた。審査員長のメリル・ストリープは「現代を生きる私たちに必要な映画。この映画が世界中で公開されるためならどんなことでもする」と力強く本作を応援している。また、イタリア首相マッテオ・レンツィも、2016年3月に行われた移民政策が議題のEU首脳会談にて、「人々を、数ではなく、ひとりひとりの人間として描いている。この映画を観たら、違った視点での議論ができるはず」と、本作のDVDを27人の全首脳に手渡したという。そして、なんと、法王就任後初の海外司牧行事でランペドゥーサ島を訪れていたフランシス・ローマ法王も本作を絶賛。サムエレ少年、バルトロ医師、ロージ監督をバチカンへ招待した。現在アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされており、世界中の注目を集めている。

2016年/ イタリア・フランス合作 /114分/
原題:Fuocoammare
監督:ジャンフランコ・ロージ
配給:ビターズ・エンド

上映場所 ソレイユ2(地下)
上映期間 5/6(土)~5/19(金)
5/6(土)~5/12(金) ①14:00
5/13(土)~5/19(金) ①15:10

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